突破

轟音が響く。


「・・・・・」

「これが・・・これが魔術の解呪・・・!?」

「うん、 うん、 うん、 はい、 はい、 そうね、 うん」


柵を弄っているラビーを見ているゼロとツイスト。

既にラビーが何をしているのかゼロもツイストも理解が追い付いていない。

ゼロは呆然としている、 何か凄い事が起こっていると

ツイストは滑らかな魔術に涙した。


轟音が響く。

しかしラビーもゼロもツイストも気に留めていない。


「すぅー」


ラビーが深呼吸をする。

そして柵がぐにゃりと曲がり、 人が通れる穴が空いた。


「さて、 行きましょうか」


ラビーが穴から外に出る。


「あ、 そうか、 まだ他の奴等を助けないといけないのか・・・

公爵は待って下さい」

「わ、 分かった」


ツイストも外に出たのであった。






「良し!! 行った!!」

「うぉ!? ど、 如何した!?」


見張っていたリソレがラビーとツイストが脱出したのを見て歓声を挙げる。

ォンも見張っていたが飽きてソファに寝っ転がって雑誌を読んでいた。


「ラビーがやった!!」

「ヤッたって・・・うえっ!? マジかよ!! 穴空いてるじゃんか!!」


ォンも驚愕の声を挙げる。


「ちょ、 やべぇじゃん!! 直ぐにがっ!!」


ォンが知らせようとすると頭の受話器を掴まれた。


「お父様に連絡するわ、 繋いで頂戴」

「う、 わ、 分かったよ」


受話器を耳に当てるリソレ。


「もしもしお父様? リソレです、 今宜しいでしょうか?」


ォンの能力は受話器に話す事で指定の相手と話す事が出来る能力である。

テレパシーの様な能力だがあくまで話す能力なので声は周囲に聞こえる。

リソレはォンをフライとの通信に使っている。


『構わない、 近くに誰も居ないから手短に話せ』

「ラビーが大使の柵を捻じ曲げて穴を開けました

これはラビーの固有魔法が覚醒したのでは?」

『ふむ、 一歩前進と言った所か、 大分良くなって来た』

「そうでしょう、 褒めて下さい」

『リソレは殺されたのに私に報告出来て偉いね』

「えへへー」

『報告は終わりか』

「え、 あ、 はい」

『じゃあ引き続き監視をしておけ』

「はーい」


通話が切れた。


「・・・・・リソレ、 良い歳した女が褒めて下さいはちょっと・・・」

「私の享年は18歳、 つまり永遠の18歳、 親離れ出来なくても仕方ない」

「・・・とりあえず大使に報告に行くかー・・・」

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