戦闘のプロは斥候の大切さを良く知って居る(巾木side)

巾木達はこれから如何するか頭を抱えていた。


「馬車は如何にか動きそうですぜ、 馬はちょいと怯えていますが

最悪、 円が引けば良いでしょう」

「少し落ち着ければ大丈夫だ、 それよりも、 だ」


ちらりと密を見る円。


「傷は如何だ?」

「まだ動かない・・・神経を切られたらしい、 的確に狙いやがって・・・」


忌々し気に言う密。


「手当はしたが専門的な治癒魔法か医者に見せる必要が有るな・・・

流石は皇帝フライの息子、 人の人体を知り尽くしている」

「巾木さん、 大丈夫です・・・」


ふらりとしながら立ち上がる密。


「密、 無理するな」

「いや・・・僕は彼女に助けられてきた、 それなのにこんな所で役立たずになる訳には」

「みっちゃんよぉ・・・アンタ、 何か勘違いしとりゃあせんか?」


金鬼が半分怒りながら密に詰め寄る。


「ラビー令嬢助けて終わり、 って訳じゃないんだぞ、 人生は」

「・・・人生?」

「そう、 俺の人生設計にはまだまだ金が必要だ

その為にはまだまだ【雷馬】で働かないといかん、 お前だってそうだろう?」

「そうだけど・・・」

「お前の代わりを見つけるのに幾らかかると思っているんだ?

お前の代わりなんてそうそう居ないぞ」

「・・・・・それは・・・うん・・・」

「だからお前は傷を最優先で治さんかい」


金鬼の妙な気遣いに首を傾げる一同だった。


「書状が無くなった以上、 赤い森の近くで待機している連中を動かせないだろう

如何する?」

「・・・・・」

「いや、 巾木さん、 これ考える必要有りますか?」


考える巾木に何の事は無さそうに言う雷。


「何かいい案でもあるのか?」

「もう一回書状を書かせれば良いのでは?」

「いや・・・それは・・・書状を奪われたのでもう一枚書いて下さいって

あまりにも・・・その・・・」

「確かにみっともないかもしれませんが背に腹は代えられない、 そうでしょう?」

「多分怒ると思う」

「怒られるのが怖いって子供じゃあるまいし」

「いや、 別に怒られるとか如何でも良い、 寧ろ怒られて話が進むならそれも良い

だが話が拗れるのがなぁ・・・」

「・・・ダメ元で行って見ましょう」

「そうだな・・・円、 馬は如何だ?」

「大分落ち着いて来ました、 行けます」

「では行こうか、 もう一度ストロング公爵の元に・・・」

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