気まずい(ウル&スノーside)

ウェーサーカ法国を出国したウルとスノーは馬車に乗って

カラメル王国へ帰国の途に入った。


「・・・・・」

「・・・・・」


馬車のグレードは低いがウェーサーカ法国の手配で個人馬車を借りる事が出来たので

ビア帝国までは直行で行ける。


「・・・・・」

「・・・・・」


とは言え気まずい。

互いに話題が無い、 互いにサンライズの側近だが話す事も無いのだ。


「・・・あのー・・・スノーさんは普段って何しているんですか?」

「普段はボウル司教に家庭教師をして貰っている」

「・・・ボル司教に?」

「違う、 ボル司教は私の父だ、 ボウル司教はまた別の司教だ

名前は似ているが別人だ」

「そうなんですか・・・・・家庭教師ってどんな事をしているんですか?」

「色々だ、 ボル司教は僧兵としての経験もあったから

文武両道でやっている」

「そうでしたか・・・」


・・・話題が尽きた、 気まずい。


「君は姉であるラビー嬢とは仲が悪いのか?」


スノーが気を使ったのかウルに話題を振った。


「・・・怖いんです」

「え?」

「怖いんです・・・姉が・・・」


ガタガタと震えるウル。


「何をそんなに恐れる必要がある? 彼女は君を虐めたとかそう言う事か?」

「いいえ・・・・・ただ怖いんです・・・姉は完璧なんです・・・

テストだって首位以外を取った事が無い、 何をやっても完璧・・・

本当に実在するのか・・・それが近寄り難く怖いんです・・・」

「いや完璧じゃないだろ、 王子を差し置いて首位を取るのは気遣いが出来ないのではないか?」

「・・・・・そう言われれば・・・」

「それに、 アスパルをあの場で殺そうとしたのは悪手だった

彼女だったら暗殺する手段は有っただろう」

「確かに・・・意外と抜けているんですかね?」

「如何だろうね、 分からんな」


ガタン、 と馬車が止まった。


「御者!! 如何した!?」

「すみません、 脱輪です、 修理しますので一旦外に出て下さい」

「・・・はぁ・・・」


外に出るウルとスノー。

外には風がひゅう、 と吹いた。


「さむ・・・」

「シクラメン合衆国は少し冷えるな・・・」

「この国は北と南で寒暖差が激しいんですよね」


御者は新しい車輪を嵌め始めた。


「・・・・・これからどうなるんでしょうか」

「殿下が? それとも我々が?」

「両方ですよ・・・」

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