閑話 古着とヴィンテージの違い

「全部合わせて15000Gですかね」

「15000だとぉ・・・」


がっかりしながら査定を聞くウィノ。



質屋に行って売れそうな物を売ろうとしたウィノだったが

買取価格が思ったより悪かった為、 他の店を転々として買取価格が高い店を探し回っていた。

古本屋や古着屋に行ったりもしているが状況は芳しくない。

今は古着屋で古着の査定をして貰っている所である。


「おかしいだろぉ・・・これ少し前に流行った服だぞ・・・」

「流行遅れですよ」

「畜生め・・・ヴィンテージとかってあるだろ・・・それと何が違うんだ・・・」

「ヴィンテージとは時間が経過するうえで、希少性や需要が増し

尚且ついい状態を保ち価値が出たものです、 御客様が持って来たのは古着ですね」

「古着だとぉ・・・」

「古着とは時間の経過した状態のいい洋服のことです」

「・・・・・」

「如何しますか? 置いて行かれます?」

「でも10着で15000Gは幾ら何でも足元を見過ぎじゃないのか?」

「いえ買取出来るのは9着ですね」

「9? 1着買い取れないのか?」

「こちらの服は買い取れませんね・・・」


こちらの服とは貴族服である、 主にパーティ等に来ていく礼服である。


「何故だ? 一番高そうだからこれを買い取って貰いたいのだが・・・」

「いえ、 貴族様の服なんて・・・言っちゃ悪いですが、 正直買い取りたく無いです

後々問題になりそうで・・・」

「そうか・・・・・」


問題になりそうというのはウィノが貴族では無いとこの店員が思っているからである。

こんな古着屋に服を売りに来る貴族が居てたまるかと思っているのだ。


「それならば仕方ない・・・その9着を売ろう」

「ありがとうございましたー」


15000Gを持って外を出るウィノ。


「古本売って3000・・・古着売って15000・・・物を売って20000・・・

合わせて30000超える位か・・・これでは軍資金になり得ない・・・

一体如何すれば・・・」

「そういう事ならお任せ下さい」


にこやかな男に声を掛けられる。


「・・・何だよ」

「見た所お金に困っている様ですね?」

「何故わかる」

「お金の事を言いながら歩いて居れば分かりますよ

実は私共は学生ローンをやっていましてね、 カラメル王国学院の学生さんに

お金を用立てています、 良ければ融資しましょうか?」


天の助けか、 悪魔のささやきか。

カラメル王国学院の制服を着ていた事で学生ローンのキャッチに出くわしたウィノ。

果たして彼の運命は如何に。

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