閑話 大麻について語るウォーム

「サンライズ、 お前は俺と大麻を誤解している」


サンライズの馬車にやって来たウォームが唐突に変な話を始めた。


「どういう事だ?」


早朝に起こされたサンライズが心底嫌そうに対応する。


「俺はとても良い奴だし、 大麻も言う程悪くない

お前は大麻の事をただの麻薬だと思っているだろう?」

「違うのか?」

「大いに違う、 大麻はハーブだ、 草なんだ、 タバコと変わりない上に

煙草に比べて依存性が少ない」

「本当かよ」

「統計によると大麻使用者の9%が依存症になる

タバコ使用者は32%、 コカイン使用者は20%、 飲酒者は15%が依存症になる

依存性は煙草よりもずっと低い」

「依存症の有無ではない、 どれほど害があるかだ」

「それを言うなら煙草も肺がんのリスクがあるだろう

知ってるか? 紙煙草を一本吸うだけで寿命が5分30秒縮むと言われている

それに比べたら大麻を規制する意味が分からん」

「大麻だって煙草だろう」

「俺は全部調理して出しているだろう?」


ドヤ顔をするウォーム。


「・・・・・それでも俺に麻薬だと伏せて吸わせた事実は変わらない」

「確かに10代への大麻の使用は色々とヤバいらしい

成長過程だからかな、 当時はデータ不足で分かっていなかったが今では反省している

だが最近は帝国だけじゃなく他国でも医療目的の大麻利用を合法化してるぞ?

がんやエイズ、 関節炎、 多発性硬化症、 偏頭痛、 てんかん、 吐き気など

さまざまな病状に適用されている、 完全に禁止しているのは王国と法国だけだ

大麻を禁止しつづけているのは医療の発達に対しての魔女狩りだと俺は思うね」

「医療の発達って・・・回復魔法で充分だろ」

「魔法が使えない人間の方が多いんだからな

平民では魔法使いは伝説や陰謀論と言う説もある

帝国の調査データでは魔法使いの数は増え続けているが

人口の割合と比べると微減しているらしい

将来的には魔法が使えない人間だけになるだろう、 まぁ万年単位の話になるが」

「気の長い話だ・・・」

「兎も角、 大麻はそんなに体に悪い物じゃないという事が分かったか?」

「それでも私は大麻を吸わないし喰わない

お前が大麻を吸おうが何しおうが勝手だが私に勧めるな」

「んー・・・しょうがないなぁ・・・

大麻のパンフレットを置いておくから読んでおくように」


そう言ってウォームはパンフレットを置いて去って行った。


「朝から何やってるんだアイツは・・・」

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