閑話 タコスを食べるだけ

「・・・・・はぁ・・・」


店で一人でがっかりするラビー。

がっかりの原因は自作していたタバスコである。

一応自作する方法は知っていたので作ってみたのは良い物の

タバスコは熟成が大事な調味料である。

やはり大手が作るタバスコには遠く及ばないとがっかりしていたのだった。


「でも舌がメキシコになっているから、 何か食べたいわね・・・

タコスにでもしましょうか」


そうと決まれば話は早い。

ラビーは薄力粉と水、 オリーブオイルに塩と砂糖を一つまみ入れてかき混ぜて

油をしいて焼いてタコスの生地を作った。

沢山具材を乗せたいから大きめに作る。


カランコロン。


「お、 料理中でしたか?」


盾の騎士が入店する。


「タコスを作っています、 食べますか?」

「良く分からない料理だが頂きます」

「分かりました」


キャベツを千切り、 玉ねぎはみじん切り。

油をフライパンに薄く敷きひき肉をそぼろ状に炒める。

みじん切りした玉ねぎも投入し軽く火が入ったら料理酒を入れて蒸し焼きに。

ケチャップとオイスターソース、 クミン、 ハバネロパウダーを加えて良く炒める。

客に提供するのでハバネロの量は控えめにした。

焼いた生地にキャベツ、 具、 チーズをたっぷりと入れて出来上がり。


「どうぞー」

「おぉ!! なんか具沢山だなぁ、 いただきまーす!!」


タコスを頬張る盾の騎士。


「もご・・・もご・・・おぉ、 キャベツのしゃきしゃきと肉のジューシーさ

そして辛みが何とも言えないハーモニーをかもしだしている、 チーズも良い味出してる」

「そう言って頂けて幸いです」


ラビーもタコスを食べる。

辛みが足りないのでタバスコをかける。


「それ、 何だい?」

「自家製のタバスコです、 あんまり自信無いですが

少し辛さを足したいので・・・」

「俺にも貰える?」

「良いんですか?」

「この店に来て辛さには慣れて来ているから平気だよ」


ラビーはタバスコの瓶を盾の騎士に渡す。

盾の騎士はタバスコを少しタコスに振りかけて食す。


「うん、 少し辛さ強いけども旨い・・・と言うか辛さだけじゃないな

このタバスコって言う奴」

「私が作る物よりももっと大きい会社とかで作った物の方が美味しいですけどね」

「俺は違いが分からないからこれで充分だ」


残りのタコスも平らげる盾の騎士、 満足そうな彼を見て微笑むラビーだった。

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