ロマンは一日にしてならず!!

「ふむふむ、 実に興味深いね」

「そっすか?」

「うん、 実に良いね」


トレジャーハンターの四人組は食事の代わりに皿洗いをする事になったのだが

洗う枚数が少ない為に食事代にはならなかった。

しかしそんな彼等の元に小説家の頭が輪になっている亜人が来た。

トレジャーハンター達の取材費の代わりに食事代として

大量の野菜を貰ったラビー。


「うん、 面白い話だよ

古代でぶ妖精文明の遺産がこの赤い森に残されているかもしれないと言うのは新説だよ」


古代でぶ妖精文明、 それはまだ人間達がサークルランドにいなかった頃。

でぶ妖精達が築いた文明である、 後に人間達が文明を築いた時に

文明を維持するのが面倒で人間社会に寄生するでぶ妖精が多発し

古代でぶ妖精文明は崩壊した。


「夢物語に聞こえますけどねぇ・・・」


アイスティーを出すラビー。

小説家は受け取り飲む。


「いや、 中々に面白い話だよ、 でぶ妖精の証言と過去に在った文献

そしてフィールドワーク、 やろうと思っても中々出来ない事だよ」

「実際にでぶ妖精文明は有るの? そこら辺どうなのおでぶちゃん?」

「「「忘れちゃったー」」」


てへぺろ、 とするでぶ妖精達。


「忘れんなよ・・・」

「だって数万年前の事なんか覚えているでぶ妖精なんか稀だにょー」

「と言うか長生きし過ぎね、 おでぶちゃん達」

「ドヤァ」


ドヤ顔をするでぶ妖精達。


「でもなぁ・・・中々調査は難航しているんだよなぁ・・・」

「何で?」

「それっぽい遺跡を見つけたんだが、 遺跡の中に入っても

やたらでかいでぶ妖精が中に詰まってるんだ」

「中に詰まっている・・・食べ物で釣ったら?」

「それも考えたけど

『沢山の食べ物じゃないと退かないにょ―』って聞かないんだよ」

「じゃあ沢山の食べ物を揃えたら良いじゃない」

「いやぁ・・・揃えるにしても少し厳しいかな・・・」

「何で?」

「トレジャーハンターは宝が見つからなければニートに等しい!!」

「駄目じゃないか、 働け」


小説家がアイスティーを飲む。


「働けってなぁ・・・」

「トレジャーハンターはロマンの有る仕事だ

だがロマンの為にロマンじゃ無い事もしなければならない

地道な調査とかもしただろう、 ロマンの為ならば地道な作業も必要だ」

「そうですかねぇ・・・」

「このアイスティーと同じだよ」

「え?」

「このアイスティーは唯のアイスティーじゃない、 かなりの名品だ

これを作る主人の腕前は唯者じゃない」

「恐れ入ります」

「・・・・・」


アイスティーを受け取って飲む鳥籠頭。


「俺達・・・頑張るよ!!」

「その意気だ」

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