マコト③
ユミの心が無くなってから3週間がたち、あれはただの夢だったのではないかと時々思うようになった。
ユミがなんであの日だけ話が出来たのか、どうしてぬいぐるみが心を持ち、そして心を無くすのか、なぜ捨てられる日がわかるのか、ユミから聞く事ができていればもっと現実だと納得出来たのだろうか。
いや、ぬいぐるみが喋るということを受け入れるには14歳は大きくなりすぎているので、やっぱり「夢だったかも」と思ってしまったに違いない。
「ユミ、修学旅行、行ってきます。幸せを、ありがとう」
色々隠し場所を考えたが結局いつもの、枕のそばに置くことにした。運命が変えられないのなら、せめていつも通り過ごしてほしい。
枕の横にちょこんと座っている手乗りサイズのハムスターのぬいぐるみは、もうユミではない。頭ではわかっているんだけれど、ただのユミの脱け殻とはどうしても思えない。
窓の外には、ユミが来た日と同じ、青い青い空が広がっていた。
ユミとマコト 幸 茉莉花 @miyuki_marika
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