第4話 消えろねーちゃん
あの人、、店長か。
いくつぐらいなんだろう。
既婚者…だよなぁ。
オレも見たことあるんだよな多分。
いや、誰かに似てんのかなぁ。
あれから、オレの頭の中は、あの店長でいっぱいになった。
「しっかしな。ねーちゃん、誰から見ても怪しいからな。もしも、この店長さんにお近づきになれたとしても…、うわ〜、やだ。姉弟でキモイとか思われちまうじゃん」
つい、独り言。
ありえない妄想をしながら、いつものように、ねーちゃんの散らかしたリビングを片付ける。
うんもー!!!!
ねーちゃん!!!
いなくなれ!!
消えろ!!!
頭をかきむしり、キーッ!!!
っとなってから、掃除機を取りに行き、ガーとかけていると、携帯がなった。
健太から早速LINE。
『おっす、さっきはどうも。あれからちょっと買い物して帰ったんだけど、またねーちゃん、見たよ。バーキン下げて歩いてた』
軽く〔ご連絡ありがとうございます〕のスタンプで返しとく。
すぐ〔どういたしまして〕と返ってきた。
ねーちゃん、なに、バーキンぶら下げたまま歩き回ってんだよ。真っ直ぐ返って来いや…。
オレは、なんだかんだ言って、やっぱり心配なんだ…。
はー。
疲れた。
今日は、チャーハンでも作って、インスタントワカメスープでいいや。
片付けたばかりのキッチンでネギを切る。
冷凍ごはんを電子レンジで解凍したらフライパンにゴマ油を少しひいて、ごはんを入れる。塩コショウ。ティファールでお湯を沸かしておく。
マグカップにワカメスープのもとをあけて、
フライパンの上のご飯をほぐし、冷蔵庫から卵を取り出して割り、かき混ぜながら、フライパンに流していく。固まらないうちに、ごはんと混ぜるように炒める。ネギを入れて、1分ほど混ぜたら、醤油をひと回り。
じゅじゅじゅじゅ〜。
できた。火を止める。皿に移して、スプーンと共にテーブルへ。
ちょうどお湯が沸いたので、マグカップに注ぎ、ワカメスープに。
さて、いただきます。
と、食べようとしたところに、ガチャと、ねーちゃんが帰って来た。
「おかえり」
「うん」
「どこほっつき歩いてたんだよ?」
「本屋とか、文房具とか、」
「何買ったの?」
「…。なにも」
「冷えちゃうじゃん、バーキン」
「あ、 いつもだから」
「温かいうちに食べた方がうまいんじゃないの?」
「大丈夫」
「毎日、バーキンで飽きないの?」
「うん」
「野菜とかさ、足り無いんじゃない?」
「野菜とか 興味ない」
「…。」
もういいや。普通の話しが通じないんだった。いや、オレの普通はオレの世界の普通。
人は、それぞれに、それぞれの普通がある。
修行だ。
今、オレは修行の身で、この修行を終えたらきっと。大きな心でなにごとも許せる寛大な男になり、仕事もできて、収入がいい感じに安定し、いい感じの彼女ができて、、ウヒウヒ。ニヤニヤ。
もう、妄想に逃げるしかない!
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