第2話 待てよねーちゃん

いつもそうだ。

ケンカにならない。

こっちが怒って、一方的に怒って、なんのやまびこも返って来ないまま、終わる。

何も解決しない。


こうなりゃ、文化の違う人と暮らしているのだと、納得するしかない。

納得なんてできないけれど、それはこっちの修行が足りないのだろう。

ねーちゃんの生きている世界は、片付ける や、 相手の話しを聞く なんて概念が無いんだ。 相手 なんて概念が無いのかもしれない。

一時は、ねーちゃんは精神を病んだのかもしれないなんて、ちょーデリケートに接した事もあったけど、いんや違う。

あいつは、天然だ。

まったく違う世界に生きてる。

そう思わんとやっとれん。


ねーちゃんが部屋から出てくる。

トイレに行って、冷蔵庫を開けて、ペットボトルを取り出して飲む。ごくごくと飲んでしまう。冷蔵庫を閉めてあるき出す。3歩歩いて戻り、冷蔵庫をまた開けて、5秒ほどのちに、またパタリと閉めた。

キャップを手に持ったままだったらしい。

は? どんだけ上の空やねん。

意味わからんわ。


あー。早く結婚でもしてこの家を出て行きたい。

つーか、そうだよ! ねーちゃんが結婚して出ていけばいいんじゃん!


「ねーちゃん! おい、アネキ!」

「なぁに?」

「アネキ、付き合ってる人とかいないの?」

「いない」

いないよなぁ…、わかりきった事をなんでオレは、聞いたんだろう。

「じゃあ、好きな人とか、、さ。 いないの?」

「いる」

「へ? …どんな? どんな人?」

ねーちゃんは自分の部屋に向かって歩き、バーンとドアを開けた。

グッチャグチャのもっさもさの部屋が見える。その奥に、慣れた足取りでザッザと入って行き、そして、スマホを持って戻ってきた。

ねーちゃんは、そのスマホの画面をバン!とオレの目の前に向けて「この人」と言った。


少し離して、見た画面にはどこかで…。

「あれ? このおじさん…どっかで…」

ねーちゃんはバッと、スマホを隠し、顔を真っ赤にして走り去った。

マジか…。


あのおっさんと、ねーちゃんが、なんとかなれば!!!!

  なー んてな。そんなに簡単に行くわけ無い。漫画じゃあるまいし。


いやしかし、、あのおっさん、、どこで見たんだっけ? 誰だっけ?


ねーちゃん。意外だったな、あーゆーおっさんがストライクなんだ…。


へー。

つうか、人を好きになる感情なんてあるんだ…。意外だ。

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