第3話 初めての魔物
俺はサラの腕を引っ張りながら魔王城に向かって歩き出した。
すると、城下街を出てすぐに、ぷよぷよした見た目の粘膜状の生き物と遭遇する。
「なんだあれは!? サラわかるか?」
「もう、強引に引っ張らないでよ! あー。あれはスライ……。」
ここでサラは何かを言いかけて止まる。そしてニヤリと笑ってから、再び口を開くのだった。
「あれは魔王よっ! 今ここで倒して世界を救ってちょうだい。」
サラが
暫く凝視していたが、
一向に襲ってこないので、話せば分かってくれると思い、俺はそいつに語り始める。
「魔王よ。何故人間を襲い、この世界を支配しようとしているのだ? 出来れば話を聞きたい。」
「ぷよん、ぷよん。」
俺は
「答えてくれないか……。仕方ない。魔王よ! 世界を救う為にお前を切る!!」
俺は王様に渡された銅の剣を手に持ち、
「え? 切り裂けた??」
ぷよぷよした何かは光に包まれて消えていく。
「うふふふ。アンタ本当にバカね。魔王っていうのは嘘よ。」
「サラ。何を言ってるのか分からないが、魔王は倒した。すぐに王様に報告しに行くぞ。」
“
サラが後ろから訳のわからない事を言っていたが、
「ちょっと! 嘘って言ってるじゃない。お父様に怒られるからっ!! ちょっと待ってよおぉ!」
そして王様であるランドロスに
「ランドロス王よ。魔王は倒した。さぁ元の世界に帰してくれ。」
「なんと!? ここを出てから、1時間足らずで魔王を倒してしまったのか!? ……サラ、本当なのか?」
報告をするとランドロス王は、サラに真偽を確かめる。するとサラは首を振って違うと否定していた。
「サラ。お前が魔王って言ったんじゃないか。何が違うって言うんだ。」
「あーもう! ややこしくなるからアンタは黙ってて!!」
サラに黙っていてと言われて仕方なく口を出すのをやめる。
暫く王様とサラが会話をしていたが、王様はため息を吐いてからサラに言った。
「サラ。勇者は魔王を知らないんだ。紛らわしい言葉は使うんじゃない。」
「そうだけど……。私は倒した後にちゃんと説明したわよ! コイツがバカなのがいけないのよっ!!」
「良い加減にしないか! サラが原因で勇者に勘違をさせたんだろ!? ……勇者よ。此度は、私の娘が迷惑を掛けたな。すまないがもう一度だけ、魔王討伐に出向いてくれんか?」
サラは王様に怒られて涙目になっていた。そして、サラを怒鳴った王様は俺に頭を下げて、もう一度だけ魔王の討伐をお願いしてくる。
王様に頭を下げられて、断われる雰囲気じゃなく渋々了承した。
そして涙目のサラと城を出て、再び旅に出るのだった。
ーーここから八雲とサラによる、本当の魔王討伐が始まる……はずーー
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