不規則
水泡歌
第1話 不規則
不規則な生活なんてするもんじゃない。
その日、俺はそう思った。
冬休みあけの始業式。
俺はものすごい眠かった。
まぁ、そりゃそうだと思う。今まで休み中、遅寝遅起きという不規則な生活をおくっていた俺。
いきなり早起きする学校生活が始まって、眠いにきまってる。
そんな眠い中、始まった始業式。
俺たちは体育館に集められ、クラスごとに座らせられている。
さっきから始まった校長の話は俺にとってはいい子守歌だ。
しかし、今、寝るわけにはいかない。
俺の横で担任が見ているから。
「お前まさか寝る訳じゃあるまいな」という風に俺を睨んでるから。
俺は担任の顔を見上げ「いやいや、先生。まさか」という風に半笑いで首を振る。
しかし、俺の瞼は正直言って限界だ。
さっきから瞼を閉じるように脳が命令をしてくる。
「早く始業式よ終われ!」そう念じるが俺の願いは届かず、校長はまだ話を続けている。
やれ生徒のこれからの過ごし方や今日の俺たちの様子や……。
そんな事はどうでもいい! とにかく早く終わってくれ! その子守歌を封じてくれ!
俺が心で叫んでいると、校長の話がやっと終わった。
ホッと安心する俺。
けれど俺の戦いは、まだ終わらない。
次は、生活指導の……。
NO! そうだよ……、これで始業式が終わるわけないじゃないか、ハハハハッ。
あ、やべえ、何か幻覚見えてきた。
俺の周りには今、天使と悪魔という幻覚が見えている。
へ~、こんなのって本当に見えるんだ~。
他人事の様ににそう思っていると悪魔と天使が話しかけてきた。
悪【もう眠いんだろ~寝ちゃえよ~】
ああ、そうだな。もう寝ちゃうか。
天[ダメだよ、そんなの。先生が見てるんだよ。怒られるよ]
ああ、確かに。俺の担任ねちっこいしな~、後からグチグチ言われそう。
悪【そんなの関係ねぇよ。後の苦痛より今の快楽だよ】
ああ、そうだな。今寝たらすげ~気持ちいいんだろうな~。
天[ダメだよ! 君が寝たら横に座ってる深沢さんにも迷惑がかかるんだよ。君、深沢さん好きだろ。その深沢さんによだれをつけることになるよ!]
ああ、確かに。俺、深沢さん、好きだしな。よだれとかつけたら確実に嫌われるな。
悪【そんなの関係ねえよ。深沢さんだってそんなお前をみて「あれ、吉田君、よだれたらして寝てる。かわいい」って思ってくれるよ。】
天[そんな訳ないだろ! さっきからいい加減なことばっか言うなよ!]
悪【うるせぇ! お前さっきからうるさいんだよ!】
フッ、おいおい、天使と悪魔がけんかしだしたよ。なんちゅうベタな展開。
ああ、何かもうどうでもよくなってきた。
そんな時、先生の「全員、起立」という言葉が聞こえてきた。
俺はフラフラと立ち上がる。
そして「礼」の声と共に……前に倒れた。
始業式が終わる前に俺は保健室に直行。保健室でぐっすり眠ることできた。
皆さん、不規則な生活は控えよう。
不規則 水泡歌 @suihouka
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