第10話

南禅院を背にアスファルトの道を歩く


靴はコツコツと足音を変え


閑静な住宅地へと差し掛かる


左手にはアイスクリームの看板


北海道バニラアイスの方が旨いことは分かりきっているのに


京都に来たからと抹茶アイスの方が魅力的に見えるのは


歳を重ねてしまったからであろうか…


着物の集団を抜け小洒落た店の店頭を冷やかしながら行く


晴れた日の雨樋はどこか虚しげに見え


足元の植木鉢に押し込められた仙人掌サボテンは丸く収まっていた


遠くの山々は色付き


空には白い雲


見上げれば柚子

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