第54話 嘘の理由
『シズネさん! 今どこにいますか?』
慌てたような通信が入って、急いで現在地をマップで確認する
『集合地点から南に500メートルぐらい。【
『なら、そこからは隠れながら慎重に向かってください。合流地点で待っていたら敵にみつかりました』
その声に力が入っているってことは、もうすでに戦いが始まっているんだ!
『到着したら好きなタイミングで援護をお願いします。ただ、ヒナのソウルリングを持っているのなら生存優先です。見つかりそうなら、最悪私は捨ててください』
そして言われた通りに【
私が到着したとき、ユキミちゃんはかなり危険な状況だった。
【
どうあっても、ユキミちゃんを倒す。そのための布陣がこれというわけだ。
ヒナほど多人数との戦いが得意じゃないユキミちゃんにとって、この状況はかなり厳しいと思う。
私が助けに入らないと。
さっきユラちゃんからもらっておいたアイテム、ユニコーンの卵を取り出す。
特殊枠といわれるアイテムだ。
卵を手で包み込むように温めると、たちまちユニコーンへと成長していった。
よし、いくよ!
マナの消費をしないで空が飛べるアイテム。でも、このユニコーンの特徴はそれだけじゃない。
背後からの攻撃に気づいていないユキミちゃんの元へと、全速力で飛んでいく
そして――。
「【
普通は空を飛ぶのに【
これが特殊枠アイテムの強みだ!
「シズネさん!」
「助けに来たよ!」
魔法弾は【
とはいえ、ピンチに変わりはない。
でも、こっちが二人なら向こうだって戦力は半分になるはず!
「隠れるのが得意って聞いてたけど、そっちから出てきてくれるなら助かるわ」
ユイさんの指示で、控えていた魔法少女たちが私のほうへとやってくる。
「ユキミちゃん、私が半分受け持つからもうひと踏ん張りするよ!」
「ありがとう、助かったわ」
短いやり取りをして、すぐに飛び立った。
後ろから魔法少女が付いてきているのを確認する。これだけ引き付ければ、ユキミちゃんならすぐには倒されないはず。
まあ、私は正直超キツイんですけどね!
でも、これで喋る余裕ぐらいはできたかな?
ヒナを復活させるためにも、合流を目指す。その目標は達成できた。
じゃあ後は、ユキミちゃんの気持ちを確認するだけだ。
人の目は素直な言葉を封じてしまう。
誰かに見られていると、自分の想いを伝えられない。
ほかでもない、内気な私がそれを一番よく知っている。
でも通信なら、その気持ちを教えてくれるかもしれない。
『ねえ、ユキミちゃん。個別設定だからさ、ヒナに秘密でお話したいんだ』
後ろから飛んでくる魔法弾を、木々を使って回避する。
体力回復のアイテムを使いながら、多少の被弾は覚悟して時間を稼ぐ。
『私はさ、ヒナと一緒にゲームができてすっごく楽しいの。こんな楽しい場所があるって教えてくれて、引っ張って来てくれたヒナとは、これからも一緒にゲームがしたい』
ユニコーンの体力がなくなり、落下しそうになるところを【
『でも、ゲームはみんなが楽しくないとダメなんだよね。ヒナも私も、それにユキミちゃんも、みんなが楽しいから私だって楽しいんだと思うんだ』
【
慌てて地面に降り立つと、走って逃げながら魔法弾を必死の思いでよけ続けた。
『ねえ、どれだけ私が力になれるかはわからないけど、教えてくれないかな? どうしてヒナに嘘をついたのか。ユキミちゃんが悪い人じゃないって私わかってるから。きっとなにか理由があるんだよね?』
ユキミちゃんからの返事。
その返事を待つ時間は、途方もなく長く、マナも体力も尽きかけたとき、ようやく小さな小さな返事がきこえた。
『私は……』
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