第44話 特殊な魔法のテクニック
『さっきと同じ流れでいいんだよね?』
『うん、不測の事態がおこるまでは同じで!』
ヒナの返事を聞いて、隠れられそうな場所を探してみる。
敵の来る方向的に、さっきと同じしげみの影に隠れてもすぐに発見される可能性がある。
また違う隠れ場所を探さないと。
「えっと、敵がヒナを見つけた時にちょうど死角になりそうな場所がいいよね……」
おぉ! あれなんて良さそう!
周囲を見渡して発見したのは、いくつかの岩が集まっている場所だった。
しかも、岩と岩の間がギリギリ私の入れるサイズで、陰になって見づらくなっている。
うん、ここにしよう!
そして、すっぽりと岩の間に収まった。
「この狭いところにちょうど隠れる感じ、落ち着くよね……ってそうだ、ユキミちゃんに連絡しなきゃ!」
岩の中からユキミちゃんと通信を開始する。
『ユキミちゃん、隠れられたよ』
『わかったわ。じゃあまずは【
そして、ユキミちゃんが教えてくれた小技は面白い物だった。
『私が相手と話しているところを狙ってみてね』
『わ、わかった。やってみるね』
そして、頭の中で教えてもらった方法を繰り返しイメージしていると、ヒナとユキミちゃんが敵と戦い始めた。
さっきと同じように、ヒナが前線で二人。ユキミちゃんが上空で一人を相手にしている状態だ。
でも、ヒナはさっきのように突っ込んでいくことはせず、攻めあぐねているようだった。
これは私がバシッと決めて、早くヒナを助けてあげないとね。
「【
ステッキが弓の形に変わり、手には魔法の矢が握られていた。
「マスター! しっかりと決めちゃってください!」
狙うはユキミちゃんが戦う魔法少女。
その遥か上空。そこへ矢を放つ。
ヒュン、という音を残して矢は空へと上がっていった。
でも、これで終わりじゃない。
むしろここからが本番だ。
放物線を描いて飛んで行く矢を空に向かって放てば、どこかで矢は下に向かって落ちてくる。
空に上がってから落ちてくるその時間があれば、もう一度攻撃することだってできる。
『いくよ、ユキミちゃん!』
矢が起動を変え落下してくるそのタイミングで、今度はまっすぐ相手の魔法少女に向けて矢を放つ。
私が放った矢は相手の魔法少女に命中し、残った体力を空から降ってきたもう一本の矢が奪いさっていった。
ユキミちゃんの目の前で、魔法少女がお墓に変わる。
ぶっつけ本番だったけど、止まっている敵になら当てられた!
『一人撃破。おめでとうシズネさん。完璧な攻撃だったわよ』
『ユキミちゃんが時間を稼いでくれたおかげだよ』
相手が動き回っていた場合、こんなにうまくいかない。
上手だったのは、私よりも相手の足を止めたユキミちゃんだ。
『って二人とも! 話してないでこっち手伝ってよ!』
見ると、ヒナが二人を相手に戦いを繰り広げていた。
ヒナから一定の距離を保ったまま、中距離からの攻撃を繰り返している。
苦しい戦いというわけではないが、攻め込めない状況だ。
戦闘が長引けば、それだけほかの魔法少女がやってくる可能性がある。
なんとか早く決めないとなんだけど……。
『じゃあこのままシズネさんに決めてもらおっか』
『わ、私!?』
『準備ができたら教えてね。私はヒナと一緒に時間を稼ぐから』
そして、ユキミちゃんはヒナの元へと飛んで行った。
相手と同じように中距離から撃ち合う気だ。
たぶん、普段ならユキミちゃんが援護しながらヒナが突っ込んで、勝負を決めるんだろうけど、せっかく機会を作ってくれたんだし、しっかり決めないと。
【
「
ステッキが大型のものに変わり、先端の丸い玉に光が集まっていく。
そしてしばらくすると、丸い玉はひときわ強く輝いた。
「もう一回チャージ!」
すると、さらに丸い玉の光は強くなっていく。
「マスター! チャージ完了まであと5秒ですよ! 3,2,1」
そして、パルちゃんのカウントがゼロになるのと同時に、さらに光が強くなった。
これが、ユキミちゃんから教えてもらった
いつもよりチャージ時間も魔力もたくさん使う変わりに、攻撃力や攻撃範囲を高めてくれる二段階チャージだ。
『ユキミちゃん、準備できたよ!』
『わかった! ヒナ、集めるわよ!』
『オッケー! シズネは良い感じのタイミングでお願いね』
そしてヒナとユキミちゃんが動いた。
相手を左右から挟むような形で展開すると、敵の魔法少女二人を追い詰めていく。
「ここだ!」
そして、二段階チャージの
固まっていた二人の魔法少女に向かい放たれた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます