2章 ~勝気な私の徹底抗戦~
第29話 プロローグ
応援の声がどんどん大きくなっていく。
ビリビリと空気が震えるような感覚にあてられて、私まで身を乗り出すようにして、目の前のモニターを見つめていた。
「さあ、ここからは大将同士の一騎討だあああ!!」
司会の声も一段と大きくなっていく。
そしてモニタに表示されている、一人の魔法少女が動いた。
まっすぐ相手へと向かっていきながら、魔法弾を発射。
相対する魔法少女は、それをすべて紙一重で躱しながら、【
そして――。
「決まったあああああ! 決まりました! 第118回『
司会の人の言葉と同時に、会場に歓声が沸き起こる。
今日一番の盛り上がりを見せる会場の熱気は火傷しそうなほど高まっていき、私も一緒に見ているヒナと手を取り合って、その熱気に乗っかっていた。
「これがプロの試合! すごいすごい!」
「ほらね、来てよかったでしょ!」
「うん、思ってたよりずっと楽しい♪」
そして、モニタには優勝者の紹介とゲームの宣伝が流れ始めた。
私たちがやってきていたのは第118回『
ヒナがチケットを手に入れたということで、一緒に遊びに来ていたというわけだ。
「それにしても、この格好で観戦できるんだね」
「今時普通だって。シズネの感覚が古いんだよ」
今私とヒナの服装は普段の学生服じゃない。というか服装だけじゃなくって顔つきから全部普段とは違う。
VRゲームを起動し、『
ゲームの中でゲームの観戦をするっていうのは、なんだか不思議な気分だよね。
「大会の観戦に行くって言って、待ち合わせ場所の確認とか言われたときは驚いたけどさ」
「普通電車でどこかの会場にいくと思うでしょ」
「いやいや、おばあちゃんじゃないんだから」
そして、まだ大会の余韻に浸る周囲の人々へと目を向ける。
そこにいるのは、私たちと同じ『
SF映画のワンシーンに迷い込んだみたいな不思議な光景は、ここがゲームの中だということを思い出させてくれる。
「えっと、ここっていろんなゲームをプレイしている人が集まれる場所なんだよね」
「うん、ネットワークに繋がっている人ならだれでも来られるよ」
「はえ~」
インターネット上にあるもう一つの街。そんなシズネの説明を思い出しつつ私たちはヒナの部屋へと戻っていくのだった。
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