第12話 連戦!!
倒した敵のお墓から、持てるだけアイテムを回収する。
うん、これならなんとかなりそう!
シズネがいる場所へ向かっている敵はいないけど、一応注意しておいたほうがいいかな。
「シズネ、もしそっちに敵が行ったら、頑張って逃げてね」
『わかった。ってこっちに来るかもしれないの?』
「うん、シズネの場所ってかなり有利なポジションだから、奪いに来ると思う。まあそこを明け渡せば追ってこないと思うからさ。あと【
『りょ、了解!』
よし、じゃあ行くよ!
今見えている範囲で、敵はまっすぐ突っ込んでくる一組だけ。
できれば早く倒しちゃって、次のパーティに備えたい!
「ならやるべきは、速攻でしょ!」
低空飛行の【
「突っ込んできた!?」
「迎え撃ちましょう!」
遠距離での戦闘だと、攻撃をかわされて長期戦になりやすい。それなら距離を詰めて短期決戦にしなきゃ!
飛んでくる魔法弾を回避する。相手が次の攻撃を繰り出す前に大きな岩場に着地して、高さを生かして一斉攻撃!
「【
魔法弾は相手にダメージを与えながら、いくつかは地面に着弾する。砂煙が舞い上がったところでもう一度【
私のことを見失っている敵に向かって次の攻撃をしようとしたとき、視界の端に大きな魔法弾を発見した。
「ってヤバッ!」
『ヒナ! 【
追撃をあきらめて、一度距離をとる。
次の瞬間、私のいた場所が爆発した。爆風に巻き込まれた二人の魔法少女は、かなり体力を消耗したはずだけど、まだ生きている。
『大丈夫?』
「うん、ノーダメージ! それより、まずは目の前のパーティを倒すよ」
三つ巴の戦いになれば長期戦になる。
まずは体力が少ない、目の前のパーティを倒さないと。
「シズネ! 片づけるよ! 手伝って!」
『わかった!』
「『【
二か所から同時に打ち出された魔法弾で、パーティはそろってお墓へと姿を変えた。
本当はのんびりアイテム回収をしたいけど、そんな余裕はない!
もう一組は高台で孤立しているシズネを見つけると【
『ヒ、ヒナ~。助けて~!』
「大丈夫、すぐ行くよ! とりあえず厄介なほうを倒してくるから、時間を稼いでみて!」
頑張ればシズネを追いかける敵を倒してから、【
「シズネが頑張ってるんだし、私もヘマしないようにがんばらなきゃね!」
【
【
「シュート!」
狙い通り飛んで行った【
「よっし! まずは一人!」
シズネの方を見てみると、うまく逃げ回っているようで敵の攻撃を回避しながら空中をグルグルと回っていた。
「こっちは終わったけど、大丈夫?」
『だ、大丈夫! ギリギリだけど全部避けてるから!』
被弾0って結構すごいよね。やっぱりシズネは才能あるかも
どこまで逃げ続けられるのか、見ていたい気持ちもあったけど、さすがにかわいそうだしそろそろ助けてあげるか。
「シズネ! そのままこっちに逃げてきて」
『わかった!』
シズネと、それを追いかける敵の魔法少女がまっすぐにこちらへ向かってくる。
こちらにまっすぐ突っ込んでくる敵なんて、恰好の的!
「これで終わり!」
【
「ナイスシズネ! よく逃げ切ったね!」
『ほんとに自分でもびっくりだよ』
ふわふわとシズネが私の隣に降りてくる。
「これで終わりだよね。はぁ~~、よかった」
へにゃっと座り込むシズネだった。
「あー……残念だけど、まだまだこれからじゃないかな」
「へ?」
さっきまでシズネがいた高台に、二人の魔法少女が姿を現した。
南側からは飛んでくる小さな影が見えるし、少し離れた場所からは戦闘の音も聞こえてくる。
「こ、これって……もう私無理だって! さっきのだってすっごく怖かったんだから!」「でも、相手は待ってくれないし。第二ラウンド始まっちゃうよ」
「そ、そんなぁ」
そして私たちは次の戦いへと向かっていった。
◆◆◆◆◆
倒しても倒しても次々現れてくる敵!
「これっていつまで戦えばいいのよ~!」
『とりあえず、誰も来なくなるまでだって!』
言いながら遠くのほうで、ヒナが一パーティを全滅させていた。
私はというと、少し戦闘にも慣れてきて相手の攻撃を避けながら【
というか、この【
パルちゃんが初心者向けって言っていただけあって、撃てば一つか二つぐらいは魔法弾が相手に命中してくれる。
ヒナみたいに全弾命中させるのは無理だけど、これなら私も戦える。
というか今、魔法少女っぽいよね!
うん! ちょっと楽しくなってきたかも!
「シューティグゲームの格言に『初心者向けの武器は最強の武器』という言葉があるぐらい、初心者向けの武器は万能ですからね。ゲーム初心者のマスターでもしっかりと戦えますよ!」
「うん、でも慣れてきたらほかの武器も試してみたいな。あとでオススメとか教えてねパルちゃん」
「お任せくださいですよ!」
そして私を追いかけている魔法少女をヒナが打ち抜いてくれた。
これでとりあえず、見える範囲には敵がいなくなったことになる。
「ふー、これで少し休憩できるかな?」
『わかんないよー。とりあえず、適当なお墓からマナと体力の回復アイテムだけは回収しといてね』
いわれた通り五つほど回収しておく。
アイテムには持てる量に限りがあるらしく、魔法のカードや回復アイテムをどれくらい持てばいいのか、またあとでヒナに詳しく聞いてみないと。
そして一度ヒナと合流しようとしたとき、近くで聞こえていた戦闘音が近づいてきた。
『やっぱり休憩はお預けだよ! ホラ次のが来た!』
見ると、まっすぐこちらへ向かって飛んでくる魔法少女がいる。
でも、様子がおかしい。
パートナーの魔法少女がいないし、私たちに気が付いている様子だけど攻撃してこない。
「これじゃあまるで、何かに追われてるみたいな……」
『シズネ! 危ない!!』
ヒナの声でとっさにその場を飛びのいた。
すると次の瞬間、【
「う、うわあああああ!」
爆風で数メートル吹き飛ばされて体力がごっそりと削られた。
ヒナの声がなかったら直撃してたかも……。
しかも、結構痛い!
『大丈夫? とりあえず回復しておいて!』
「うん、でも今の攻撃どこから来たの?」
『そこにある丘の向こうだよ。たぶんさっき逃げてた魔法少女をねらって打ったんだと思う』
「な、なにそれ! じゃあ巻き込まれただけ!?」
ヒナが指さす丘に目を向けると、さっき一人の魔法少女が逃げてきた方向だった。
そして、そこから次々に【
「って、すごい飛んできたよ!! フ、【
慌てて空に飛びあがって避難する。【
空ならその心配もないってわけだ。
『あー……ビギナーズラックっていうかなんていうか……ヒナといると変わったプレイヤーによく出くわすよね』
「え? それってどういう――」
言い終わるよりも先に、丘の向こうから連続で【
十や二十にもなる大玉の魔法弾が空から降り注いでくるその光景は、魔法少女アニメの最終回みたいに派手なものだった。
「って、これやばくない!?」
『とりあえず、今は全力で回避! そのあと丘向こうに攻め込むよ!』
いろいろと聞きたいことはあったけど、全部あと!
今はこれを避けきらないと!
空から落ちてくる魔法弾を一つ二つと回避していく。
長距離からの【
そして【
「ねえ、ヒナ。【
「うん。たぶん補助魔法の【
「【
「呼ばれてませんが説明します! マスター!」
元気よく飛び出たパルちゃん。
「攻撃魔法を使用したあとに、マナチャージの時間が必要なのはご存じですよね」
「うん」
魔法を撃ったあと、すぐに次の魔法が打てないことは、戦いの中でなんとなく理解していた。私が使う【
「補助魔法【
「短縮……それで【
「ですが、マナの消費が激しいので、マナ回復の宝石を大量に集める必要がある、かなりとがった魔法ですね」
そしてパルちゃんの説明を引き継ぐように、ヒナが追加の情報を教えてくれた。
「ちなみに、ああやって【
「ひさしぶりって、すごく強そうな戦法なのにやる人少ないの?」
「うん、マナ回復の宝石がたくさん必要ってのも大変だし、めちゃくちゃ目立つわりに補助魔法での移動手段がないから袋叩きにされやすいんだよ。正直あれの戦法を使ってる人は、爆発大好きな変わった人って感じ」
それで、変わったプレイヤーとよく出会うって言ってたのか。
「でも、袋叩きに合うはずの人たちが生き残ってるよ」
今もこうして魔法を撃ち続けているし、なんならさっき逃げ出した魔法少女までいたんだ。あまり強くない戦法っていうヒナの話と食い違っているように思う。
「単純にめちゃくちゃ上手なプレイヤーだと思うよ。【
……どこかヒナの声が楽しそうなのは気のせいかな? いや、気のせいじゃない。
私が変なプレイヤーによく出会うっていうのなら、ヒナも十分変だと思う! 強い相手だってわかってるなら普通近づかないよね!?
「そういえば、どうして私たちがいるってわかったの? 逃げてた魔法少女はもうずっと先までいったのに」
「一発目の攻撃にあたったでしょ。攻撃が当たるとヒットエフェクトが視界に映るから、それで誰かプレイヤーがいる! 撃ちまくれ! ってなったんだと思うよ」
「な、なるほど」
私もさっきまでの連戦で何度か攻撃を当てたからわかる。相手に攻撃があたると視界に赤いヒットマークが表示される。
この機能をつかって私たちがいるって予想したってことか。
うん、確かに強そう!
「よし、逃げよう」
「よし、突っ込もう!」
私の声は同時に発したヒナの声でかき消された。
だからなんで強い相手に向かっていくのよ!
「大丈夫だって! 【
「た、確かに一理あるけど……でも逃げたほうが安全だよ」
「いやいや、追ってくるかもしれないでしょ。また不意打ちで【
ぐぬぬ……。
ヒナの言葉にはなんだか説得力がある。でも、正直いって怖いんだけど……。
「ほら、悩んでないでいくよ! ついてきて!」
そしてヒナは飛び出していった。
あぁ、もう! わかったわよ!
後を追うように私も飛びだしていく。
ヒナの接近に気づいた相手プレイヤーの一人が、ステッキをヒナへと向け攻撃するも、ヒナはその攻撃を避け反撃を放つ。
【
『シズネ! そっち任せた!』
「わ、わかった!」
今ヒナがやったのと同じように突っ込んでいく。見本をみせてくれたんだから、同じようにやれば倒せるはず!
ヒナと同じように突っ込んでいく私の目の前で、相手の魔法少女はステッキを私ではなく、地面へと向けた。
『シズネ! 逃げて!!』
相打ち狙いの自爆! 足元に放たれた【
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