第11話

「ギルドマスターである魔王様の顔に泥を塗るような行為をした二人はこれから地獄を見せてやるとして……先ずはクスタ君のことだ。」


こちらを見ながらダンジョンマスターのサランは笑顔で話しかけてきた。


「契約を解除できるのですか?」


ダンジョンマスターのサランの言葉に僕はすぐに反応した。それならすぐに解約してほしい。


「いや、それは出来ない。すぐに解除出来てしまうと、冒険者ギルドのスパイとして派遣された可能性ありとして取り調べの後に監視対象として過ごしてもらうことになるんだ。」


スパイなんかじゃないけど。それは嫌だな。


「スパイじゃないのは分かっているけど、ルールだからね。だからしばらくはダンジョンで過ごしてもらう。」


「ダンジョンで……それなら、何か仕事ってありますか? 実はお金があまり無くて……」


「仕事? 仕事しなくてもこちらの不手際だから生活は保証するけど?」


「そうですか? ありがとうございます。では街に戻るにはどれくらいの時間がかかりますか?」


「……今回は内容が悪いからね。時間がかかるかも知れないよ。」


地面に開いた穴を見つめながらダンジョンマスターのサランは話してきた。そうか、悪用されたことも報告するから時間がかかるのかな。


「それならやはり仕事がしたいです。何もせずに過ごしていると街に戻った時に大変そうなので。」


そう伝えると、ダンジョンマスターのサランは腕を組みながら頷いてくれた。


「そうか……それなら好意に甘えるとしよう。もちろん生活の保証は行う。その上で仕事をしてくれるのなら、給料を渡そう。働いたら働いた分稼げる。それだと地上に戻った際に多少のお金を持って帰れるから困らないだろう。」


お金がもらえるのならダンジョンを出ていった後の生活も安心だな。


「はい、それでお願いします。」


こうして、僕はダンジョンで働くこととなったんだ。



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