第19章〜利用〜

第19章〜利用〜


俺は街を散策していた。


この前起こった草原を荒地へと変えた黒いモヤの件について街へ行き情報を模索していた・・・・


・・・・が、何も情報が得られず街を彷徨っていた。


このまま宿に戻ろうしたその時、前方から誰かが俺目掛けて押し寄せてきた。それに複数人だけじゃなく複数人で押し寄せて来た。


「もしかしてKIDさんですか!?」


「俺の名前を知っているのか?」


俺は反応に困った。どうみても相手は女だ。それに6人いる。その女はこちらの都合など気にせずガンガン話を進めた。


「うちらぁ困ってるんですよぉ〜wwww」


「ねぇ〜」


「こーわーいぃーww」


「ヒヨコちゃあ〜んwww」


こっちの都合なんざ気にもせず女達は勝手に話している。俺は話を聞こうと口を開いた。


「君たち、なんの用があって僕に尋ねてきたんだい?もしかして依頼?」


すると6人の女達は話すのをやめ、黙り込んだ。


数秒空いて最初に俺に話しかけてきた子が話を始めた。


「はい、、、わたしたち、、、すごい困ってるんです.....」


「うぅ....故郷が...ヒック...うわああああん...故郷がああああ....」


「故郷がああああ、、、魔王軍にぃいぃぃ....」


「うわーん!!」


女の子達が立て続けに泣き始めた。


周りからも嫌な視線で見られている。


このままじゃ誤解を生みそうだ・・・


「わかった!話を聞くから一回場所変えよう!落ち着いてから話してくれ!」


俺はそう言いながら女達を連れて場所を変えた。


・・・・


酒場へ付いた俺たちは席に座り俺はもう一度話を聞いた。


「気を取り直して、君たちはなにがあって僕に尋ねてきたんだい?」


先程と同じ女が喋り出した。


「はい、ミウたちの故郷が魔王軍に壊されたんです。それで私たち強くなろうと思っているんですがなかなか強くなれなくて。他の冒険者さんたちに頼んでも誰も相手にしてくれなくて・・・KIDさん。どうか力を貸していただけませんか?」


「あぁ。大丈夫。俺に任せてくれ。」


俺は依頼を承った。


「ありがとうございます!よろしくお願いします!さっそくですが自己紹介しますね!」


「私はリーダーのミウでーす。」


「私はみんなの妹のヒヨコです。」


「私はチェリーでーす!」


「私は世界一可愛いメイですううううう!」


「私はコトハでーすううう」


「私はミヨだよぉ!」


テンションがすごい。先程までは葬式ムードだったのに・・・あの話は本当なのか??


「あぁよろしく・・・」


たとえどんな人でも俺は困っているのであれば救ってあげたい。


「早速だけど君らってもちろん駆け出し冒険者なんだろうけど装備とか整えているのいかい?」


「いいえ.....装備を買うお金が無くて....」


先程のように今にも全員泣き出しそうだ。


「わ、わかった・・・今すぐ装備を購入しよう。俺が奢るから。」


「えぇ!?ありがとうごさいますぅ〜w w w」


「さっそくいこうよぉ〜www」


「太っ腹ぁ〜www」


なんなんだこのテンションの切り替えは・・・


俺はそう言いながら6人を連れて街の武具店へ行った。


俺たちは武具店に着き武器を選び始めた・・・


「これ買ってくださいよぉ〜www」


「いや、これは高価だからもっと安いのを・・・」


「なーんでーwwwわたしたち困ってるんだからこれくらいいいじゃないですかぁ〜www」


テンションの変わりようがすごい。


「お金が足りないんだ・・・」


「じゃあ10日後までに稼いできてくださいよぉ〜www」


俺はそれを言われてカッときてしまった。


「いや、無理だろ!無理だ。10日で稼げるわけないだろ!いい加減にしろ!」


「うぅ...私たち困ってるんですぅ....ヒック...この装備がないと困るんですぅ...」


なんなんだこいつらは。でも困っている人がいる以上仕方ない。


「・・・・・わかった。」


「ありがとうございますぅ!!wwwwじゃあ10日後よろしくお願いしますwwww」


彼女たちを疑いながらも俺は宿へ戻った。


明日から荒稼ぎしないとな。これは仕方のないことなんだ・・・


第19章〜END〜













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