第16章〜作戦〜
第16章〜作戦〜
「みんな。聞いてくれ。」
俺はみんなに作戦を話した。
そんな中アスジロウが声を出した。
「お前らやれ。」
「ぎゃああああああ」
アスジロウの声と共に動き出したゴブリンたち。
その瞬間俺は煙玉を地面に叩きつけた。
ボンっ
すぐ煙が巻き上がり視界が塞がれる、それと同時にベビパウがパン片手にアスジロウに向かって走り出した。
ベビパウはアスジロウとの距離を詰め、大皿に向かってパンを投げた。そして見事大皿手前に置くことに成功した。
「Wegblasen(吹き飛ばせ)」
近づいてきたことに気づいたアスジロウは瞬時に詠唱をし、ベビパウは吹き飛ばされていた。
俺たち2人は吹き飛ばされたベビパウを受け止めるも横たわっているニイとオトとともに数メートル後ろに吹き飛ばされた。
アスジロウは余裕な表情で食事を再開した。煙で硬直していたゴブリンたちも動きを再開し、襲いかかってきた。
俺たちはニイとオトの前に立ち武器を構えた。すると、
「Taub(痺れろ)」
詠唱の声が聞こえ、ゴブリンたちの足元に魔法陣が現れ、動きを止めた。
俺たちは後ろを振り向いた。そこには上半身身体を起こし手をかざしていたニイの姿があった。
「ニイさん!?意識戻ったんですね!身体は大丈夫なんですか!?」
俺は心配した。するとニイが口を開き始めた。
「ああ。さっきはまともな判断ができなかったからな。それに身体は限界に達しているが魔法を打つことはできる。」
「さっきの作戦聞いてたぞ。奴らを沸かしている魔法陣を破壊するのは俺に任せて・・・くれ・・・・」
ボロボロの姿でそう口にするニイ。
そんな光景をみてアスジロウが口を開いた。
「ふーん。まだ動けるんだ。でもこの程度の魔法。無駄だよ。」
「Absorbieren(吸収しろ)」
アスジロウは詠唱をし魔法陣を出し息を吸った。先程のような強風はなく、ゴブリンを拘束している魔法陣だけを吸い取った。
そしてアスジロウは大皿に乗っている。俺たちが仕掛けているパンを取り、話を続けた。
「無駄だ。これが爆弾だってことはわかりきっている。逃げ場所も閉鎖したし今現在痺れているゴブリンたちも数秒経てば活動を再開する。」
そう言いながらポイっと爆弾と思われるパンを俺たちに向かって投げた。
だが、これは作戦通りだ。ブゥが即座に詠唱をはじめた。
「Detonation!(起爆!)」
俺たちはその声と共に視線を逸らした。
ピカーン
「閃光玉!?うわあああああ
アスジロウは困惑しながら目を眩ませた。
「そのパンは爆弾じゃなかったのか!?」
「クソがああああああ」
焦ってアスジロウが詠唱を始めようとする。
「Größer werden(力よ大きくなれ)」
ブゥの詠唱と共に俺は本物の爆弾をアスジロウ目掛けて投球した。
腕の力は魔法の力で格段に増大している。
プロ野球選手の投球ばりの速さでアスジロウの腹に直撃した。
「ぐあっ」
もがくアスジロウ。それを逃さずブゥが再び詠唱を始めた。
「Detonation!(起爆!)」
詠唱と共に爆発し、アスジロウは吹き飛ばされた。
俺はそれを逃さず意識をゴブリンに集中させた。
ドキッ
やはりだ。アスジロウが吹き飛ばされたと同時にゴブリンの中から魔法陣が消えたことを目視し、
「今だ!」
俺の声と共にブゥとベビパウが武器を構えゴブリン目掛けて駆け出した。
「「うおおおおおおお」」
ゴブリンはそれほど強くなくあっさりと2人によって斬り倒された。
俺はニイの身体を支え、ニイは手をかざした。
「Zerstörung des magischen Kreises(魔法陣破壊)」
光弾が現れ、俺は指示を出した。
「あそこの壁です!」
それを聞き、ニイは俺が指示した壁に目掛けて光弾を放った。
その光弾は見事魔法陣に命中した。
ようやく終わった。俺たちはその場で崩れ落ちた。疲労がすごい。
そんなことも考えながら、俺は近くで横たわっているアスジロウを目撃した。弱っているせいか体が俺たちと同じサイズと同じように小さくなっていた。
「こいつ、どうする?」
ブゥが言った。するとニイが口を開いた。
「とりあえず拘束するぞ。」
〜第16章〜 END
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