第14章〜絶対絶命〜

第14章〜絶体絶命〜


「魔王軍・・・・」


俺たちはそれを聞き警戒体制を強めた。紛れもない、こいつは魔王軍だ。


「お前が少女や助けに入った冒険者たちを囚えたのか!」


男はニヤリとしながら口を開いた。


「うん。そうだよぉ。」


「ギャーギャー」


突然男の後から複数対のゴブリンたちが現れた。アスジロウは話を続けた。


「何やら外が騒がしいと思ってたら罠を掻い潜って冒険者が侵入してくるなんてねぇ。」


「ギャーギャー」


すると、1匹のゴブリンがこちらに向かって飛びかかってきた。


ガシッ


ゴブリンの頭を片手で掴みアスジロウは口を開いた。


「待てって言ったろぉ」


男はもう片方の手でゴブリンの体をがっしり掴み口の方へ持っていった。


次の瞬間大きく口を開き。ムシャムシャとゴブリンを食べ始めた。



あまりにも気持ち悪く、俺たちは目を逸らした。


「ギャああああギャああああ」


ゴブリンの断末魔が聞こえる。


数秒後。ブゥが口を開いた。


「この食糧。市街の食糧か?」


「うん。そうだよぉ。盗みが上様な下っ端に食糧を盗ませてここに運ばせてたんだよぉ。」


アスジロウが答えた。


下っ端に市街の食糧を盗ませた。


俺には心当たりがあった。そして俺は口を開いた。


「もしかしてお前がひわんに指示をだし盗みを働かせたのか?」


「たしかそんな名前だったっけ?うんそうだよぉ」


アスジロウが答えた。


「そういえば全然帰ってこないねぇ。君たち彼が今どこにいるのかしらなぁい?」


「ひわんは俺たちが捕まえた。囚われた少女と冒険者たちを返してもらうぞ!」


アスジロウはそれを聞きニヤリとしながら手をかざした。


すると。アスジロウの近くにいた複数対のゴブリンの体が少し光った。


俺はそれを見逃さず意識を一点に集中した。


ドキンっ


見えた。俺は瞬時に仲間達へ伝えた。


「魔法陣だ!ゴブリンの体に魔法陣が貼り付けられてある!さっきまではなかったはずだ!」


きっとさっきアスジロウが手をかざしていたのはそういうことだろう。


ブゥとニイは剣、オトは斧、ベビパウはダガーをそれぞれ構えた。


俺も弓矢を構えようとしたその時


ドキンっ


「うっ・・・・」


俺はその場に崩れ落ちた。


先ほどから能力を連続使用していたためか身体が思うように動かない。


やはりまだ使いこなせていないせいか負荷が大きいようだ。


「KID!大丈夫か!?」


ブゥが心配してきた。が、そんな余裕はない。


ニイとオトは詠唱を始めた。


「「Zerstörung des magischen Kreises(魔法陣破壊)」」


2人の周りを魔法陣が囲った。


ゴブリンは全部で8体。ニイとオトはそれぞれ4個づつ光弾を作り出した。


そしてゴブリン目掛けて光弾を放ったその時


アスジロウが顔の表情を変え詠唱を始めた。


「Absorbieren(吸収しろ)」


アスジロウの周りを魔法陣が囲い、アスジロウは大きく息を吸った。すると大きな風が巻き起こり光弾は大きく逸れ軌道が変わりアスジロウの口に吸い寄せられ吸収された。


「魔法を、食べた・・・・」


そんな悠長なことを言っている場合じゃない。風は今も続いている。俺たちもやつに吸い寄せられそうになるくらい風が強い。まるで掃除機のような吸引力だ。俺たちは踏ん張った。ゴブリンも剣を突き刺し耐え抜いていた。


その時風が止まった。アスジロウが口を開いた。


「お前ら。やれ」


アスジロウの指示と共にゴブリンたちが襲いかかってきた。


身体が思うように動かない。そんな俺をみてニイが指示を出した。


「ブゥとベビパウはKIDを守るんだ!ゴブリンは俺たちが相手する!」



「「Zerstörung des magischen Kreises(魔法陣破壊)」」


ニイとオトは先程のように詠唱をし光弾を放った。


「ぎええええええ」


だがゴブリンは奇声を上げながら光弾を次々と光弾を避けていった。明らかに以前より動きが速くなっている。魔法陣の影響なのか?


ニイとオトは武器を構え向かってきたゴブリン相手に振り下ろした。


「ギャあああああああ」


ゴブリンの断末魔が聞こえる。向かってきたゴブリンを2人は1匹残らず切り倒した。


だが次の瞬間。


「ぎゃ、ぎゃあああああああああ」


「クソッ!」


「しまった!」


ゴブリンはニイとオトにしがみついた。


振り払おうとするが4体ずつしがみついておりふりほどけない。


ブゥとベビパウが応戦しに行こうとした次の瞬間。


バアアアアアン


「!?」


ゴブリンはその場で爆発した。アスジロウが魔法陣を埋め込んでいたのはこのためだったのか・・・・・


そして土煙が止み、目の前で目撃したのはボロボロの姿で地面に横たわるニイとオトの姿があった。


「ニイさあああああん!!オトさあああああああああん!!」


      〜第14章〜 END

























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