第11章〜使い方〜
第11章〜使い方〜
「おい、なんでだよ・・・・」
能力が使えない。いや、使い方がわからない・・・・
今までも不意に発動していた。俺自身どうやったらこの能力を発動させるのかわかっていない。
はやくしないと、囚われている人たちが危ない。
俺は念じ続けた。だが能力は一切発動しない。
「KIDさぁ〜ん大丈夫ですかぁ〜?」
ベビパウが心配してきた。俺は口を開いた。
「あぁ。能力が発動しないんだ。それに俺自身どうやったら使えるのか今までわかってないんだ。」
「なんだって?」
ブゥが驚いていた。そしてニイが口を開いた。
「被害に遭った冒険者の話によるとB1階には罠も何もない。とりあえず急ぐぞ!」
そう言われ、俺たちは次の階へ降りた。
〜ダンジョンB2〜
俺たちはB2階へ下りた。そこにも灯りがついており約300m先のB3に続く階段も目視できた。
だが、俺たちは迂闊に進めなかった。ダンジョン内は公園のように広い。俺たちは罠やモンスターを警戒していた。
俺が能力を使いこなせてさえいれば。こうなることはなかったはずだ。今の俺はみんなのお荷物でしかない。
そんな中焦っている俺にオトが話しかけてきた。
「落ち着け。大丈夫だ。お前は能力を発動させることだけに集中すればいい。」
「集中か・・・・・」
そしてニイが口を開いた。
「とにかく。罠が見透せないんじゃ仕方がない。罠にはまる覚悟で先へ進もう。」
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。俺は本当に足を引っ張ってばかりだ。悔しい。
俺は4人のあとを追いダンジョンを進んだ。そして次の瞬間。
ピカーン
先頭を歩いていたニイの足場が突然光った。そして魔法陣のようなものが浮かび上がってきた。そしてその魔法陣はどんどん大きくなり、その中から身長2メートルほどのゴブリンが現れた。
「モンスター!?」
ブゥが声を上げた。
ピカーン ピカーン ピカーン ピカーン
前方に魔法陣が新たに数個増えた。そして同じく中からゴブリンが現れた。そしてオトが口を開いた。
「さすが魔王軍の罠だな。」
俺とブゥとベビパウは少し驚いていた。そんな中前方にいる2人は冷静だ。
そしてニィがみんなに指示を出し始めた。
「この魔法陣は消しても増える。この部屋の中に魔法陣の罠をしかけるための起源の魔法陣がある。それを探して壊さない限り無限にモンスターは沸き続けるんだ。」
「ゴブリンは俺たち2人で相手する。KIDは後ろで起源の魔法陣を探すために能力を発動させるよう頑張ってくれ。ブゥとベビパウは後衛で俺たちが取りこぼしたゴブリンの相手をしてくれ。」
「「わかった(わかりましたよぉ〜)」」
ブゥとベビパウが返事をした。
俺は心配になり声をかけた。
「でもお2人に無理をさせるわけには・・・・」
「大丈夫だ。俺たちは中級冒険者の中でも実力は上の方だ。だから心配するな。」
オトの返答を聞き、俺とブゥとベビパウはさっそく後ろに回った。
それと同時に複数体のゴブリンが動き始めた。
ニイとオトはその場に立ち詠唱を始めた。
「「Wegblasen(吹き飛べ)」」
ニイとオトのまわりを魔法陣が囲いその瞬間目の前で突風がおこりゴブリンたちを吹き飛ばした。
そして2人はそれぞれ剣と斧を抜き取り再び詠唱をはじめた。
「「Größer werden(力よ大きくなれ)」」
次の瞬間2人の持っている剣と斧が微かに光った。おそらくこれはよくある切れ味を上げる増加魔法だろう。
そして2人は遠くへ吹き飛ばされたゴブリンに向かっていった。
「さあ、今のうちだ。」
ブゥが声をかけてきた。俺は能力を使うために念じた。
・・・・が、能力は一向に発動しない。何が足りないんだ。何が必要なんだ。
俺はわからないでいた。そして先程オトに言われたことを思い出した。
『落ち着け。大丈夫だ。お前は能力を発動させることだけに集中すればいい。』
集中。集中だ。確かに俺は能力を発動させることと急がなきゃという気持ちが先走って焦ってしまい集中ができないでいた。
そして俺はいままでの自分の行動を振り返った。
1回目に能力を発動させた時は戦いに集中していた時。
2回目は泥棒を追いかけることに集中していた時。
つまり能力を使うには意識を集中して明確な目的を確定させる必要がある。
いま俺がやるべきことは罠を止めるための魔法陣を探すこと。
俺は意識を一点に集中させた。
「ふっ!はっ!」
「はあ!」
ニイとオトが前線で戦ってくれている。
「ウギャアあああああああ」
ゴブリンの断末魔も聞こえている。
「は!」
「やぁ〜」
2人が取りこぼしたゴブリンもブゥとベビパウが対処してくれて俺を守ってくれてい
る。
4人のおかげで集中できる場を作らせてもらっている。目的もみつかった。俺は意識を一点に集中させた。
ドキンっ
・・・・きた
「みえる。」
4人が一斉に振り返った。
「みえる!みえるぞ!」
〜第11章〜 END
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