第7章〜生きていたアイツ2〜

第7章〜生きていたアイツ2〜


「な、なんでお前が・・・・」


ありえない、あの日急に姿を消した俺に負けた過疎配信者がまさか俺と同じように転生してたなんて・・・・


俺は驚きを隠せなかった。


そんな俺を差し置いて毒キノコベビーパウダーは話を続けた。


「去年の今頃、配信上でKIDさんに返り討ちにあった僕はネットでの居場所をなくし途方に暮れていた時。道路で交通事故に遭ったんですよぉ〜」


「そして目が覚めたら天界?のようなところにいてそこにいたジジイさんとお話をして異世界に転生したんですよぉ〜」


大雑把すぎるが、だいたい内容が理解できた。俺の陥った状況にそっくりだ。ベビパウは話を続けた。


「そして転生してどこに行ってなにをしたらいいのかわからない僕を助けてくれたのがブゥしゃんなんですよぉ〜」


「ははは」


ブゥは笑いながらこっちをみてきた。ベビパウは俺に問いかけてきた。


「で、KIDさんはこれからどうするんですかぁ?〜wwwww聞けばKIDさん能力に目覚めて冒険者に貢献できたらしいじゃないですかぁ〜」


「あぁ。俺には冒険者を勝利に導く能力を使いこなせる素質があるらしい。だから俺はこの世界に無理やり連れて来させられた。だが、俺は困っている人がいるならどこへでも駆けつけ救ってみせる。なぜなら俺は配信者ストリーマーだからな。」


俺は答えた。そしてベビパウはなぜか黙りこんでいた。すると、


ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ


やけに外が騒がしい


「おい、外に出て様子をみるぞ。」


ブゥが立ち上がり外へ駆け込んだ。俺たち2人も後に続いた。


外に出た俺たちは真っ先に一つの光景を目撃した。


「おい!食糧を返せ!」


1人のおっさんが叫んだ。そのおっさんは真上をみていた。


俺たちはおっさんの視線の先をみると・・・・


屋根の上を走る黒い影。その黒い影は背中に大きな袋を背負っている。


「俺も取られた!」


「返せ!泥棒!」


街の人が騒いでいる。俺たちは近くにいる男に話を聞いた。


「あの、すみません。いま何が起こっているんですか。」


ブゥが聞いた。するとその男が口を開いた。


「あぁ。屋根の上を走ってるアイツが突然現れて街全体の食糧を根こそぎ盗み回ってるんだ。」


「そうなんですか。ありがとうございます」


「よし、とにかくアイツを追おう」


ブゥの声も共に俺たちは走りだした。


「あいつは安全に次の市街に行くために屋根を使って遠回りをしている。俺たちは近道をし回り込むんだ!」


俺たちはブゥの後を追い近道をしその先にある市街に出た。


近くにはたくさんの料理店や食材店がある。どれも美味しそうだ。すると、先ほどからここら辺をチラチラ歩き回っていたベビパウが戻ってきた。


「泥棒さぁんが来ましたよぉ〜」


ベビパウの声と共に屋根の上から現れた。


「!?」


するとすごい速さで当たりの食糧が一瞬にして消えていた。


そして泥棒が背負っている袋は以前より格段に大きくなっていた。


「盗まれた!」


「おい!泥棒!」


先程と同じように騒ぎが起こっている。すると近くにいたブゥが駆け寄ってきた。


「逃げられたか。」


俺たちは何もできなかった。すると、


ドキンっ!


あの時と同じだ。急に意識が・・・・


まさかと思い俺は今にも倒れそうな体を無理やり起こして屋根に登った。


すると・・・・


「!?」


「ブゥ!ベビパウ!来てくれ!」


俺は2人を呼んだ。


「どうした?」


「どうしたんですかぁ〜KIDさぁ〜ん」


「見えるんだ。」


「見えるって、何が?足跡も手掛かりになるようなものは何も・・・」


「その足跡、奴の行き先がわかるんだ。」


「え」


     〜第7章〜 END

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