24――制限②
翌日さっそくエルフの村から東にある、カルラ山へと向かう。
山は森を出て半日ほどの距離にあり、ぱっと見は普通の山にしか見えない。
「ここに幻獣がねぇ……」
「はい、そう言い伝えられています」
エルフの村からは、エルフが二人俺について来ていた。
なんでもこの山には強力な魔物が数多く生息しているそうで、それでエルフの中でも特に腕の立つ二人――ドマさんとエマさんが俺の護衛として付いて来たと言う訳だ。
二人は双子の兄妹で、黙っているとどちらが兄でどちらが妹か見分けがつかない――妹さんは残念なお胸の持ち主――ぐらいにそっくりだった。
「眷属様とサラは下がっていてください。魔物の相手は私達がしますので」
因みにサラもついて来ている。
エルフの代表的な存在であるハイエルフとして、幻獣にぜひ挨拶したいからとの事だ。
「カ、カオスさんから貰った宝玉があるから……わ、私も戦えます!」
サラは混合に加えて、魔力とスタミナ、それに素早さの合成宝玉――ハイエルフであるため有用な物を優先的に回された――を身に着けている。
そのため彼女の魔力、スタミナ、素早さは16,2倍とかいう驚異的な倍率に!
……という事には、残念ながらなかった。
体に取り込める宝玉の個数が決まっている様に、強化にも限度があった為だ。
どうもそれぞれの効果は、通常の宝玉を10個入れた際の上昇倍率である4倍――レベル5×10で300%アップ=4――辺りが上限になっている様で、それ以上能力はあがらない様になっていた。
その為1つで10%上がる宝玉は、7個合成した時点で4,5倍になって足が出てしまっていた。
混合と合わせた日には、レベル6でも軽くオーバーだ。
その事実は合成が終わってから判明したため、お陰で数十個近い宝玉を無駄にしてしまっている。
全く、そういう裏設定も最初にちゃんとレクチャーして欲しかった物だ。
まあ女神様から説明が無かったのは、俺以外が使う事を想定していなかったからだろうが……それでも7個以降は無駄って事を、ちゃんと言っておいてほしかった。
それなら無駄にレベル10を作らずに済んだと言うのに。
まあ16,2倍は儚い夢に終わったが、普通に考えれば4倍でも相当な物だ。
実際今のサラは、混合だけだった頃の倍以上の力を手に入れていると言って過言ではなかった。
「サラは眷属様の護衛に専念してくれないか?」
「そうそう。魔物退治は私達に任せて」
「う、うん」
二人の言葉にサラは頷く。
「よろしく頼むよ。サラ」
まあぶっちゃけ、俺自身も力の宝玉を取り込んだ事で――ドラゴンスロットに混合メインの力サブで取り込んでいる――大幅にパワーアップしている。
そのため護衛などは特段必要ないのだが……
まあ彼らの好意を無碍にするのも悪い。
ここは双子とサラに任せるとしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます