第25話 現役魔法教師


 ・エイナ=カミカンデ(ヒューマン) age:25

 職業:魔法学校教員

 得意属性:水 第二属性:雷

 腕力:45

 体力:58

 魔力:358

 精神力:324

 器用さ:101

 知力:75

 運:7

(※特殊技能) 高速詠唱LV3


 エイナさんのステータス。やはり魔法学校の教師というだけあって、さすがに魔力などが高い。あと、第二属性というのは、おそらく勉強や訓練などによって後天的に身に着けたものだろうか。


 あと、特殊能力の後についているLV《レベル》だが、これはそのスキルの熟練度みたいなものを現している。


 例えば『高速詠唱』は呪文の詠唱時間を短縮するスキルだが、LVが上がるごとに詠唱時間が短くなるようだ。LVはどの技能も一律1~9まで。


 高速詠唱なら、LV1で詠唱時間9/10、LV9で1/10になる。


 とりあえず、この辺は知らんぷりしておこう。……年齢は特に。


 まあ、それはともかく、現役の魔法学校の教師ということなので、普段どういう風に教えているのか興味がある。


「……ふむ、ふむふむ」


「? あの……」


 握手を交わした後、エイナはさらに俺のことをジロジロと見ている。背後に回ったり、時には体を触ったりして――そんなに珍しい体ではないはずだが。顔も平凡な部類だし。


「ああ、すいません。激炎鳥を単独で倒したという話を聞いて、どんな人かなと興味があったもので」


「激……えっと」


「ブレイズヘイズのことです。カオルさんから買い取った素材ですが、実はちょうどエイナさんが依頼してきましてね。その時にお話させていただいたんですよ。久しぶりにすごい人が登録してくれた、と」


 ジャハナムさんからの補足情報。


 冒険者として名を売るつもりはないが、名前を憶えてもらったほうが仕事を直接依頼してもらったりなど、メリットもあるだろう。資金はまだまだ必要なのだ。


「激炎鳥を単独で撃破する実力を持ちながら、どこの国家のお抱えでもなく、辺境で冒険者をしているお方――普段仕事に同行することなどありえないんだけど、今回ばかりは仕事ぶりをそばで拝見したいと思って。……ご迷惑でしたか?」


「ああ、いえ……そんなことは」


 上目遣いでエイナさんが俺の反応を伺っている。くっきりとした目鼻立ちで、結構な美人だと思う。


 ここで大人らしく気の利いたお世辞など言えればいいのかもしれないが……残念ながら、女性を口説くためのコミュニケーションスキルはこの体には備わっていないようだ。


 この童貞野郎が――そう同僚からも生徒からも罵倒された古傷がうずく。


「ふふ。では、決まりということで、早速よろしくお願いします」


 本来なら一人でやったほうが自由にできていいのだが――美人の頼みは、どうにも断れない。



 ※※



 依頼を受けたのは、薬草や毒草、魔獣の肝など計10種。エイナさんによると、学校での授業で必要なのだという。上級生たちの実習のために大量に必要になったということで、今回の依頼となったようだ。


 魔法使いとは言うものの、エイナさんの専門はポーションや万能治療薬などの魔法薬学で、どちらかという研究者に近いらしい。


「――それで、本当はもっと研究に時間を費やしたいんですけど、今の環境だと忙しくて……あ、すいません。私だけ愚痴を聞かせる形になってしまって」


「いえ、構いませんよ」


 それに、どちらかというと色々喋ってくれたほうが魔法学校の内部事情など知れていい。魔法学校の概要や施設などは神の書でも調べることはできるが、働いている人たちの生の声まではわからない。

 

 もちろん、俺が口下手で上手く話せないから助かっているというのももちろんある。


 異性でも、アリサやミルミなど子供たちだったら緊張せず話せるのに。


 女性とのトーク術なども、学ぶべきだろうか?


 ……いや神の書よ、ちょっと思っただけだから余計な情報は検索してくれなくていいぞ。『恋愛神が教えるモテトーク術』って、なんだそれ。大きなお世話だ。

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