第22話 特殊三属性と秘密ステータス
得意属性を見た結果、五人はこんな感じになった。
ジン……風
アリサ……光
マルス……土
ここまでは基本の七属性である。エルフの血を継いでいるだけあって、ジンやアリサは概ね予想通り。
ジンは闇属性が良かったようでがっくりしていたようだが、まあ、風なら闇属性は鍛えられなくもない。気を落とさないように頑張ってほしいと思う。
そして、残りの二人はと言うと……。
「これ、金……?」
「私は銀……あの、先生これは……」
「おお、珍しいな。金色は『無』属性で、銀色は『神聖』属性だ」
属性は先ほどの七属性のほかに、その属性と関係性が独立した三つの属性がある。
炎や氷と言った物理現象への変換はできないものの、自分や他の仲間の身体や治癒力などの身体能力を大幅に高めたり、もしくはアイテムの品質や武器の威力、防具の強度を高める強化魔法が主の無属性。そして、癒しや浄化の魔法が神聖属性だ。
残りは『
俺が使っている転移魔法や千里眼は、実はこの系統の魔法あたる。とにかく他のとは違って特殊な属性だと思ってくれればいい。
「よかったじゃないか二人とも……俺なんか土属性な地味な素質でよ……」
見るからに『当たり』だったジョルジュとミルミの結果を見て、やさぐれたようにマルスが言う。
「いや、そんなことはないさ。確かに一見派手さはないけど、土属性は地味にやれることが多い。土、つまりは大地だが、そこに存在し生きているものなら、なんだって操ることが出来る」
土を自在に操ってゴーレムや要塞を自在に築き上げたり、大地に根付く植物だって操ることができる。
また、この能力で俺が注目しているのは土壌の質を劇的に変貌させることができる、という点だ。土に魔力を通して干渉するだけで、あっという間にやせた土を豊かなものにする。
そうなれば、質のいい野菜や果物の栽培だってすぐに可能になる。
「その他にも色々あるが……とにかく、土魔法は一番『稼げる』と言っておこう。工夫次第で戦闘もできて、稼げて、人の役にも立つ。少なくとも、マルス――この五人のなかで一番欲しいのは君だ」
「お――」
その言葉に、やさぐれていたマルスの瞳が爛々と輝き始める。
特に貧乏生活が長かったから、『稼ぐ』という言葉には特に敏感だった。
「先生――あとでいいからさ、個人的に教えてくれよ。土でできること全部」
「ああ、特別にな」
「……頼んだぜ。俺もその……頑張って勉強するからさ」
よし、ひとまずこれで説得成功だ。他の四人もそれぞれ目を輝かせ、教科書のページをめくっている。
いつもの授業の時は退屈そうにしていたのに……ともかく、魔法の授業はいつもの勉強が終わってからにしよう。
時間割、一応ちゃんと考えておいたほうがいいな。
さて、とりあえず、ここまでは生徒たち五人が知っている情報で、知っても問題ない情報。
そして、ここからは、俺だけが知っている五人のさらに詳細な情報だった。
魔力の錬成のための呼吸法を実践させている間、俺はさりげなく神の書に目を落とした。
「生徒たちの情報をくれ」
そう念ずると、パラパラと五人の現在のデータが浮かび上がる。
表記は俺がわかりやすいよう、俺の元居た世界の単位が採用されているようだ。
・ジン(ハーフエルフ) age:12
得意属性:風
腕力:7
体力;8
魔力:15
精神力:23
器用さ:15
知力;8
運:10
※(特殊技能)精霊の加護LV1
・アリサ(ハーフエルフ) age:11
得意属性:光
腕力;4
体力:4
魔力:20
精神力:35
器用さ:20
知力:15
運:15
※(特殊技能)精霊の加護LV1 弱気
・マルス(ヒューマン) age:12
得意属性:土
腕力:12
体力:15
魔力:8
精神力:15
器用さ:10
知力:6
運:3
※(特殊技能)集中LV0
・ジョルジュ(ヒューマン) age:12
得意属性:無
腕力:10
体力:10
魔力:5
精神力:15
器用さ:15
知力:7
運:3
※(特殊技能)体術センスLV0
・ミルミ(ヒューマン) age:11
得意属性:神聖
腕力:7
体力;8
魔力:10
精神力:18
器用さ:10
知力:12
運:3
※(特殊技能)女神の祝福LV1
とまあ、こんな感じで、現在の彼らがどのような基本能力を持ち、得意属性のほか、特筆すべき何かがあれば、それが表示されている。
特殊技能はひとまず置いておくとして、ジンやアリサは種族特性上やはり魔力が高い。マルス、ジョルジュ、ミルミの三人組は魔力は低いが、腕力や体力が若干優位かというところ。
とりあえず最初のうちは皆一律でやっていくが、能力の伸びや希望に合わせて個別の課題などを用意したほうがいいかもしれない。
まあ、なんにせよ、面白くなってきた。
ちなみに俺のステータスだが……まあ、見れるのだが、それはいいだろう。大したことじゃない。
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