第6話  宮崎にて

友人に招かれて宮崎にいったことがある

私の出生地は宮崎市だが3歳で東京に移ったので記憶はない。

あの当時フェニックス通りはもうあったのだろうか

雑木林と畑と 父の記録にあるような馬小屋のある民家だけの所だったのだろうか。


父の記録には 仕事で赴任した宮崎での仕事のことがふんだんに織り込まれている。

一人目の子供を持った頃のエネルギー溢れるばかりの様子

まさに昭和のサラリーマン


宮崎の友人の家は 両親のかつての家の真向かいだった。

帰ってから両親に話したら それが判った。 こんな偶然があるものかと思った。

もっとしげしげと見てくればよかった。写真を撮りまくってくればよかった。


桜紅葉が美しかった。

母はあの道端で 生まれたばかりの私を腕に抱いて

紅葉の木々を見上げたのだろうか

紅葉の好きな母だった。

京都に誘っても

京都には 紅葉の時期に行く~ 今はいい。 とそう言って

その後どうしてもお互いの予定が合わず

結局 京都の紅葉を二人で見ることはできなかった。


私が生まれた11月の半ばは 宮崎では 紅葉もまだだっただろうか


私を抱いて 母はどこを見上げただろうか

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