第55話 メニューは決まったけど

誰でも作れる簡単なもので、皆が喜ぶもの・・・まず、おにぎりと好評だった焼き鳥、準備さえすればあとは焼くだけだし、それと新たに試してもらうものとして、焼きいも!


 ホクホクの食感と、あったかい甘み、この世界でのデザートってクッキーとか焼き菓子、ケーキ(めっちゃ高いので、貴族御用達)はあるんだけど、サツマイモじたいが無さそうだから、きっと受けると思うんだよね、大学芋もいいけど、手間がかかるので、今回はやらないよ。


 あとね、煮玉子とポテトサラダ、新鮮な卵は高級品だから、こっちでは良く火を通すのが普通、だから半熟トロトロの煮卵と、フレッシュマヨのポテサラは受けると思うんだ。


 お酒は、ドワーフの方々も楽しみにしてるみたいだから、もう用意だけにして好きに飲んでもらおう。


 と、いう事でまずは、つくってみよう!


 意外と難関だったのが、おにぎりだった、なかなか上手くご飯が炊けないし、キレイな形にならないんだよ、これが。


 特にドワーフの二人は力加減が難しいらしい、・・・・・ので、おにぎりは数を少なくして、雑炊をつくることにした。


 おにぎりも雑炊もその場で、料理をする必要がないので、どちらでも良し! それに雑炊は〆の一杯としてもおすすめできるからね。


 焼き鳥は、もちろんハットリくんに手伝ってもらったんだけど、途中からコウガくんとサイゾーくんも加わり、なぜか男の勝負となってしまい、


「負けないのにゃ! 」 と山のような串ができあがった。途中で他の猫又達に応援要請を出して、急遽ジャイアント・ロックバードを追加で狩ってきてもらい、臨時バイトの五人に大至急捌いてもらった。


「そんなに急がなくても大丈夫ですよ。」 と、声をかけても、

「神獣様達を、お待たせするのは申し訳ありませんから。」 と必死になって捌いてくれたよ。


 おう、なんか、神獣様とか言うと、猫又より格上な気がするのはなんでだろう?


 ・・・神獣様?  ・・・猫又でいいよね。


 煮卵は、熱湯に入れてジャスト7分で取り出し、すぐに氷で冷やして殻をむき、漬けダレに浸す。1日~3日位が食べごろかな? 


 ポテサラのマヨネーズを作るのに、手が痛くなるかな、なんて思ってたら、なんとあっさり風魔法で混ぜ合わせて、出来上がった、ハンドミキサーより優秀だな、風魔法は。


 そして、石焼きいも!  やっぱり大好評! お酒のつまみって感じじゃないけど、これはこれでありな美味しさだった、ねっとり系が紅はるま、とホクホク系の紅あずも どっちもいい!


 お酒が得意じゃない人用に、なにか甘いものをって思ってたんだけど、ドワーフのご婦人方は、甘いものを食べながら、お酒を飲むのが大好きで、蛇人族は甘いものも、お酒も大好き、冒険者もだいたい、お酒飲むかな・・・・って、飲まない人、あんまりいなかった・・・。


 いや、でも、ナナミもミハルも猫又達もハフハフ言いながら、

「あまーい、あっっつい、」

「熱いけど、とまらなーい」

 って幸せそうな顔してるから、これでよし。



 そして、試食会当日、早めに会場に行こうと準備してたら、もうかなりの人数が集まっていてびっくり。


 ドワーフを除いた三人は、街との往復が大変だろうから、この屋敷に泊まってもらってたから、猫又達に起こしてもらい、外を見てもらったらやっぱり驚いていた。


 どこから、こんな大勢の人達が集まったんだ?


 よくよく見てみると、ギルマスのアダムさんと、サブマスのアリサさんまでちゃっかり並んでるし、ジェフリードと義母さん、利に目敏いシュバーツェンの商人もチラホラ混ざっているよ。


 なんだか、家族連れまでいるし、そんな、大掛かりなイベントだったの、これ?


 どうする?  でも、やらないと言う選択肢はない!


 ナナミとミハルも駆け付けてきた、


「すごい人じゃのう、」

「思ったより、集まってるわね、材料は大丈夫なの? 」


「かなり、多めに用意したけど、どうだろう?、これからもっと増えるとちょっと、危ないかも。」


「じゃが、せっかく、これだけも人が集まってくれたのじゃ、どうせなら、満足して帰ってもらいたいが、何か良い、アイデアはないかの。」


 それは、俺だって同じ気持ちだけど、試食してもらった様子からして味は満足してもらえると思うけど、量が問題だよな、簡単でボリュームがあって・・・


「ミハル、焼きそばの材料ってそろえられる? 」


「ふむ、可能ではあるが、どれくらいの量が必要になるかのう? 」


「ううーん、ざっと、千人分、いや、二千人分!」


「そんなにか、ま、まあ、出来なくはないがのう。」


 かなり、自慢げな顔でドヤってるけど、ちびっ子がふんぞりかえっても、可愛く見えるのはお得だよな、見た目は12、3才位の女の子でピンクのツインテールに、最近お気に入りのメイド服、能力は文句なく素晴らしいのだけど、さあ、誉めるが良い! みたいな顔されちゃうと手がかかる妹みたいだよ。


「すごいな、ダメもとで言ったんだけど、あっさり出来ちゃうなんて、本当にミハルは凄いな!」


 ちょっと、・・・わざとらしかったか・・  


 ・・・大丈夫そうだな、さっきより、ドヤってるし、ミハルが褒められると猫又達も嬉しそうにひげとしっぽがピクピクしてるのが、面白いんだけど。


「我にかかれば、それくらいはな、任せてくれてよいぞ。」


 それ以上そり返ると、転びそうだから、そろそろやめておこうね。


「それだけの量のドロップ品を出すとなると、ナナミとシン、それにサファイルにも行ってもらおうかの。」


「じゃあ、早めに戻ってくるから、私の試食分も取っておいてね。」


「ああ、三人分は確保しておくから、任せたぞ。」


「主様、我にはほんの少し、舐める程度の生き血でかまわ・・・」


 後から、ガシッと襟首をつかまれ引きずられていく、シンの言葉はカイルに届いていなかった。


 良かったね。


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