第11話 洞穴

数匹の蛇が一斉に二人に襲いかか…らない?

足元でくねくね、すりすりしているだけだ。


これ何…? 人になついてる蛇?

…動いたら噛まれたりするのかな、


そうだ! こんな時こそ俺のスキルで、


【鑑定】

種別:カマッテスネーク ランクF


あまり人を襲うことはないが、うっとうしい。

但し、怒らせると狂暴になり危険。やり過ごすのが良い。


ドロップ品:厚いつらの皮 耐熱性があり防御力が高い。

食用:毒はないが臭みが酷く、適さない。


えっ、なんか結構詳しく出たぞ。いつもは名前位しか分からないのに。

体力が増えたからか?  まあ、いいか、役に立つし、


「なあ、この蛇なんだけど、今、鑑定したらカマッテスネークだって。あまり人は襲わないが、怒らせると狂暴になり危険だって。」


「へえー、鑑定ってすごいんだね。で、どうしたらいい?」

そんな事言われても、分かる訳ない・・。


「ゆっくり、移動してみようか? 怒らせなければ大丈夫そうだからさ。」

「そうね、ずっとこのままでもしょうがないものね。」


ゆっくりと立ち上がって出口に向かおうとすると、一匹の蛇がシャー、シャーと威嚇音を出して、出口を塞ぎ、他の蛇達は、須利するとしながら頭を洞穴の奥に向けている。


「えっ、と、 奥になにかあるのかな?」 ナナミがぽつりとつぶやくと、

蛇と目が合い、頭を上下に軽くふっていた。


「うそっ、言葉が分かるの? すごーい、さすがファンタジー!、蛇と会話出来るなんて、ファリー・ポッターみたい!!」

現状をすんなり受け入れ、嬉々として蛇の後をついていくナナミ、 


…の後を慌てて追いかけるダイチ。  

洞窟の奥まで来ると、ボロボロの扉があり、その前で蛇は止まり、二人を待つ。


「この扉を開けろってことだよね?」

蛇がまた、こくこくと頭を上下に振る。


「ダイチ、入ってみよう、扉を開けるよ。」

何かを期待しているような蛇をちらりと見ながら、


「俺が開けるよ、中に何があるか分からいし、ナナミは俺の後ろにいて。」

ゆっくりと、扉を開けて踏み出すと、


「待ってたんだニャー!」 

ドン! と何かが飛びついてきた。


…ネコ?  小さくて丸々として、もふもふとした…ネコ?

…しゃべるネコ、しっぽがフリフリ揺れている。


「うっ、うっ、うっ、長かったんだニャー、もう少しで死ぬところだったニャー。」

涙と鼻水でぐちゃぐちゃな猫が、ヒシっとしがみついている。


「ツメ、ツメが痛いからちょっと離して、痛いってば、」

感極まって泣いているネコにダイチの言葉は届かない。


ううっ、ぐちゅー、ズビズビっ と泣いているので、仕方がないとあきらめ、


ポンポンと軽く背中をたたいて、落ち着かせてやると、

数分後、やっとダイチから離れたネコが、ぐちゃぐちゃの泣き顔のまま、


「ようこしょ、、ダンジョンへ!」 優美にお辞儀をして出迎えた。


呆気に取られてポカンと口を開けたままの二人の前で、器用にお辞儀をしたままくるりと一回転をすると、12才位のピンクのフワフワ巻き毛の女の子がニコニコと立っていた。  


…家出をすれば、簀巻きにされた女の子と出会い、洞穴で休んでれば、蛇に導かれてネコにしがみつかれ、そのネコが女の子になったと。


もう、どこから突っ込んでいいのか分からないこの状況。


カオスな状況をものともせず、女の子はニコニコとしたまま話しかける。

「今、妾がお茶を用意するの少し待つのじゃ。」


気が付けば、椅子にテーブル、お茶の用意が三人分用意されており、女の子はいつのまにか腰をかけ、

さあ、どうぞと手で椅子を指し示す。


雰囲気に呑まれたまま、ゆっくりと椅子に座ると、


「ダイチ殿、ナナミ殿、ようやく会えて嬉しいのじゃ!、妾も転生者でこのダンジョンの管理人、ダンジョン・マスターとも呼ばれるておる。」


いやいや、ダンジョンって無理でしょう、ここはただの洞穴だし、

ダンジョン・マスターって、この人、関わっちゃいけないタイプの人かな?


「あー、疑ってるおるのう? 無理もないがここは本当にダンジョンなんじゃよ。今は一階層しかないがの。これから、又、新たなダンジョンライフが始まるんじゃ。そのためにお主らはここにやってきた。全ては必然じゃのぉ。」


あー、悪い子じゃなさそうだが、なんというか……、な、帰りたい。


彼女はミハル。

100年ほど前に転生してきたらしい。

転生する際、望むものはあるかと聞かれ、静かな場所で沢山のお気に入りに囲まれて暮らしたい。

過労死をしたので、もう、人に使われるような生活や対人関係に苦労したくない。

そうしたら、ダンジョン・コアとなっていたと。


ダンジョンは最高100階層まで造ることができ、最初は10階層からスタート。

訪れる冒険者や魔物達のエネルギーで成長するがことが可能で、階層が拡がる毎に好きなドロップ品の指定が出来る。エネルギーが多く貯まればランダムに派生する魔物の種類も増えるらしい。


そして、逆に誰も訪れずエネルギーを貯められないと、階層が閉鎖となる。維持する目安は、


1階層  年間×2人   

2階層  年間×4人   (2×2)

3階層  年間×8人   (4×2)

4階層  年間×16人  (8×2)

5階層  年間×32人  (16×2)

6階層  年間×64人  (32×2)

7階層  年間×128人 (64×2)

10階層 年間×512人 (256×2)

11階層 年間1,000人  あとは、1階層毎に100人プラス。


1人の人間が2日間ダンジョン内に留まると、2人と換算されるようだ。


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