第4話
そこからの日々の記憶は今もあまりない。
平日の日中は会社勤め。帰宅して家事をしてネットワークビジネスのミーティングとそのビジネス活動。休みの日はビジネスの勉強会とビジネス活動。三時間寝られれば良い方で、家に帰れば夫からの性暴力の毎日。
ぐったりして抵抗出来ない私に無理矢理し、わざと失神させては無理矢理刺激され、無理矢理目を覚めさせられ、強姦される。朝身体の痛みで目が覚めると服は乱れ、リビングや廊下や玄関や台所の床で放置されていた。下半身は夫の吐き出したモノで汚れている。夫は自分だけいつも寝室で気持ち良さそうに眠っていた。
今もたまに女性が酷い目に合わされて泣いている夢を見る。
目が覚めたときに、それが自分が当時、夫からされていた事だと言う事を三年経った今でも、まるで失われたジグゾーパズルのピースを見つけて埋められていくように思い出させられるのだ。
当時は私が夫に怯え無抵抗だった。泣きながら過呼吸になれば嬉しそうに「過呼吸になってる」と顔を覗き込まれたり、あまりの恐怖で帯状疱疹になれば「知ってる?帯状疱疹ってお前は俺からのストレスだとか思ってるかもしれないけど、ぶっちゃけ免疫力だからな?お前、健康管理も自己管理も出来ないんだな。」と、言われた。
ついこないだまでは、夫の事が少しでも頭を過ぎっただけで蕁麻疹が出ていたほどだ。
いつも強姦される度に、いっそ本当の暴力か殺してくれればいいのに……、と思っていた。
とうとう夫のご家族からも「ももちゃん!うちの息子が○○にハマっちゃったじゃない!ももちゃん止められないの?辞めさせられないの?どうしよう?」と、相談される様になった。
そして、夫はビジネス活動はしないのに商品等を大量購入し、知らない間に借金をしていた。
さらに私は借金を返済する為に働いた。それでも夫は生活態度も変わらず、強姦の日々。身体も心も限界が来ていた。
夫を夫のご家族の前で「宗教団体を辞めよう」と、説得するも、「俺はネットワークビジネスで成功する!」の一点張り。もちろんご家族には借金の事も強姦されている事も言えなかった。
でも、なんとかしなければ、と思い、私は、宗教団体を辞める事にした。
そしたらなんと、夫もすんなりと宗教団体を辞めたのだ。「ももがやってるから俺はやっていただけ。ももがやらないならやーめた。」と、ケラケラと笑われた。
普通の社会人夫婦に戻り、夫のご家族からもお礼を言われたが、夫からの強姦の日々は変わらない。
中出しされる感覚すらわからなくなっていた。
生理が来なくなった時に私の頭の中で「授かった」ではなく「授かってしまった」と、思ってしまった。
そう。私の中で「夫の遺伝子を残してはいけない」と、身体が拒否していたのだ。
産婦人科へ行くと、震えと涙が止まらず、女医さんが私の異変に気付いてくれた。
検査結果は、生理が来なくなったのは授かったのではなく、精神的ストレスとショックと疲労で、脳の信号となる部分が壊れてしまい、女性ホルモンがかなり弱まっていてむしろ授かれない身体になりつつある、と言われた。
今はホルモン治療を行い、生理が来るようになった。現在もその女医さんにお世話になっているのだが、当時の私の下半身は強姦や性暴力や性的虐待を受けた状態でボロボロだったらしい。
私は、離婚を考えたが、一度夫に相談した。すると夫は、怒鳴り向こうから離婚届を突きつけてきた。私が、ショックで泣き出したら「馬鹿なやつだな!泣いて俺に謝れば許して離婚届破いてやろうと思ったのによ!」と、笑っていた。
そして、泣き崩れる私を見落としながら「お前となんか離婚だよ。せいせいする。」と、冷たく言い放ってきた。
離婚は、調停をしなければならず、また離婚届には必ずではないが、親などからの保証人欄への記入が必要だった。
私は、夫のご家族に借金や強姦の事を打ち明けられず、「性格の不一致」での離婚と、言うことにした。
するとご家族からは手の平を返したように「この生意気な小娘!迷惑ばかりかけて!」と、怒られた。私は何も言えず、下を向いて「大変申し訳ございませんでした。」と、謝り続けることしか出来なかった。
そのまま、私の結婚生活は終わった。
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