第3話

 夫には全てを話した。

 夫には、「ももも洗脳されてない?」と言われたが、止められなかった。

 むしろ後日、Nさんから「旦那さんにも安心して欲しいから」と、連絡が入り、案の定夫もまんまと洗脳されて帰ってきた。


 しかし、私とは訳が違かった。


 私は、家族の未来の為の収入と生活の為に入団した。


 夫は、「今の会社を辞めていずれ企業して成功する!」と言い出しているのだ。


 私は、おかしいと思った。

 夫曰く、「このままこの会社で出世した所でどうなる?理想の上司がいない。なら自分が理想の上司となれる、ホワイトな会社を作ればいい。そしたら残業もない。」との事だ。

 私は、内心呆れた。今の会社で成し得ていない事を違う環境で成し遂げられる可能性は低いし、これは夫が今の会社や環境からの現実逃避と、理想と現実のギャップから逃れる為の妄想を抱いているのだろう。


 それでも今まで活力も出世願望すらもなかった夫が輝き出したのだ。

 それが少し嬉しかった。


 しかし、現実はそう上手くいかない。

 限られた時間でのネットワークビジネスはハードだった。


 実際の仕事も行いながら、隙間時間にネットワークビジネスのミーティングや勉強、アポ活動。

 やはり夫は相変わらず残業が多く、私が先に帰宅し家事をして、先にミーティングに参加し、帰ってから夫にその内容を伝える、という毎日だった。また休日も私はミーティングやネットワークビジネスで回っていたのに、夫は朝からずっと寝ていた。

 しかし、夫は口を開けば「俺はネットワークビジネスで成功するんだ!」と言っていた。たまにミーティングに来ても、アップラインからは「ももちゃんはToDoリストもマケも明確なのに……。君の夫は参加してるだけって感じだけれどもちゃんとビジネスしてるの?」と、心配されていた。


 そんなある日だった。私は、なつと夫がふたりきりで三ヶ月前から私の知らない所で出掛けたりしている事をふたりのSNSから知る事となる。


 すると、なつからは「もも!ももの旦那さんだからこんな事言うの失礼かもしれないけど、ももにばっかりビジネスさせて家事もさせて仕事もさせて酷くない?頼りないし性格も面倒くさい男の人だよね!」と、言われた。


 また、夫からも「なつさんてさ、面倒くさい女だよ。なんでももがなつさんに憧れてるのかちょっと理解出来ない。」と、言ってきた。


 じゃあなぜお互い私の知らない所で報告もなく会っていて、お互いのSNSに投稿しているのだろう、と思った。

 私は内心、ふたりの浮気や不倫も考えたが、傍から見れば、なつは本当に性格も見た目も素敵で魅力的な女性だ。夫だって男だから、もし心奪われたとしても不思議ではないし、否定も出来ない自分がいた。


ーーーーーー


 私が、ふたりの事を否定もせず放置していたある日、なつから急に連絡が来た。


「なつ!久しぶり!ビジネス頑張ってる?」

「……。」

「なつ?」

「本っ当にムカつく!」

「え?」

「ねえ、なんでヤキモチ妬いたりとか取乱さないの?アンタ、同級生に知らない所で自分の旦那に会われてるんだよ?」

「え?だってふたりの事信頼してるし。」

「意味わかんない!昔っからそう!アンタね、私が欲しくても手に入らないものをいつも持ってるの!手にしてるの!もものくせに!本当にムカつく!」

「……なつ?」

「許せない!本当にムカつく!アンタなんかもう知らない!」


 そのまま、なつは音信不通となった。


 後日、私が家でひとりで泣いていたら夫が帰ってきた。


「もも?どうしたの?」


 私は、なつの事を話した。

 すると、夫は私を押し倒してきた。


「何するの?!」

「俺もなぁ……ずーっとなつさんと同じ気持ちだったんだよ。」

「同じ?」

「なんで妬かない?取乱さない?会社でもビジネスでもいつも、ももは俺より優秀だしさ。なんなんだよ!腹立つんだよ!お前のそういう所!」 


 夫は、初めて大きな声を出して泣きながら私の服を無理矢理脱がせてきた。

 

「辞めて!待って!なんでよ?!嫌だ!辞めて!」


 私は泣きながら抵抗するものの男性の力には敵わず、そのまま夫から……夫なのに……強姦された。

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