サラに召喚魔法を教える

宿に泊まった時の事だった。翌朝の事だ。


「サラ入るぞ」


「え? わっ! ああっ!」


「ん?」


 俺がサラの部屋に入った時、サラは着替え中だった。純白の下着が朝日の光を浴びて眩しい。


「ご、ごめんっ!」


 バタン。俺は慌ててドアを閉めた。鍵を閉めていないサラにも非はあるだろうが、ノックもせずに無遠慮に部屋にはいった俺も悪かった。


「……ランス先生。入ってもいいですよ」


「ああ……」


 ガチャ。俺はサラの部屋に入る。


「すまないサラ。ノックもせずに」


 元々の召喚士服を着たサラの姿があった。


「気、気にしないで良いです。ランス先生なら。見られても別に。ただ、びっくりしただけです。見たかったら見たいって言って貰えればそれで……」


 サラは顔を赤くしていた。とんでもない事を言っている気がする。俺が見たいっていえば見せてくれるって事か。いや、そんな立場を利用したような真似断じてできない。


「話を本題に戻すが、今日は具体的な召喚魔法のレクチャーをしたいから、障害物のない平野にいくぞ」


「はい」


俺達は平野へと向かった。


「それじゃあ召喚魔法のレクチャーだ。というかサラの実力を俺は知らない。サラ、とりあえず何でもいい。一番気楽に呼び出せる召喚獣を召喚してくれ」


「はい! サモン!」

 

 サラは召喚陣を描く。


「サラマンダー!」


 現れたのはサラマンダーだ。炎で出来たトカゲである。


「サラマンダーか……」


 ベーシックな初級召喚獣である。


「はい。これが私の相棒です」


「じゃあ、次は攻撃してみてくれ。そうだな。あそこの木を燃やしてくれ」


 平野に一本だけそびえている木を指す。


「はい! サラマンダー! ファイア!」


 キュイイイイイイイイイイイイ!


 サラマンダーはサラの命令に応える。


 ボオオオオオオオオオオオオ! 炎を吐いた。


 木が燃える。しかし、すぐに鎮火してしまった。


「ふーん。弱点属性の木も燃やせないようでは問題だな」


「何がいけないのでしょうか?」


「純粋に火力が低いんだ。あの木くらい一瞬で燃やせないようではモンスター相手に通用しないぞ」


「はい!」


「そうとわかれば特訓だ! サラマンダーにひたすらファイアを吐かせろ!」


「はい!」


 こうして特訓は続いた。実に3日もの時間を消費した。


 ――そして。


「サラマンダー! ファイア!」


 キュイイイイイイイイイイイ!


 ボオオオオオオオオオオオオオ!


 いつもより強い炎がそびえる木を襲った。そして、木は一瞬にして燃えて朽ち果てた。


「やりました! ありがとうございます! ランス先生! これもランス先生のおかげです!」


「そんなことないよ。サラ。君が努力したおかげだよ!」


「そんな事ありません! 先生がいたから努力できたんです!」


 サラは感激している様子だった。


 そんな時だった。


「ん?」


「きゃっ! なんですかっ! このモンスター!」


 俺達の前にイノシシが現れた。


「ファンゴだな」


「ファンゴ?」


「イノシシのようなモンスターだ。防御力は弱いけど、突進されると結構痛いんだ」


「やっ!」


「サラ! 逃げるなっ! お前は冒険者だろ! 俺にいつまでも甘えるなっ! 自分でなんとかするんだ!」


 いつまでも俺に頼られても困る。自分でなんとかしてもらわなければならない。


「はいっ! サラマンダー!」


 キュキュキュイイイイイイイイイイイイ!


「ファイア!」


 ボオオオオオオオオオオオオオオ!


 ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!


 ファンゴは炎の直撃を受け、一瞬で丸焼きになった。


「やりました! ランス先生のおかげです!」


「いや。サラの実力だよ!」


「そんな事はありません! 先生のおかげです!」


 それはそうと、鼻孔をくすぐるような良い匂いがした。ファンゴの丸焼きができていたのである。


「旨そうだな。こいつを今晩の夕食にするか」


「はい! おいしそうです」


 こうして俺とサラは晩飯にイノシシ肉を食べた。


 ▲▲▲


 てらったたたったたらーーーーー! (特殊効果音)


『召喚士サラのⅬⅤが2にUPした』



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