05 知っててもやっちゃうからヤンチャ
ざっくり一年が過ぎた。
俺の生活は地力をつける個人修練のみに終始した。
流石に5~6歳に本格的な修行は悪影響しかないという判断だった。
まぁ、MPとHPの最大値上げはやってたけどな。
個人修練とはそういう意味だ。
地形を変える派手な魔法の披露は自重してるが、MPを多く使うものを選んで枯渇状態に持って行く事は欠かさずしていた。
ただMPはそれで良いんだが、HPは露骨に体調への影響が出るので思ったよりは増加できていない。日中は昼寝とか小休憩とか、ぶっ倒れても不振がられないタイミングが必須だったし。
体術に関しては七歳を目処に。魔術に関しては八歳を目処に家庭教師が用意される事になっている。この世界の人の成長的にはそのくらいがベターなのだとか。
まぁ、体術に関しては妙に戦闘力の高い召使いたちからでもレクチャーは受けれるので、ストレッチ程度のものは既に受けている。
子供の身体の柔軟性からか、結構身体は動く。補助必須だけど“I字開脚”できるぜ。
魔術に関しては……とりあえず、親父に全力で強請って教本だけは集めてもらっている。
なんせ本を読むだけで選択コマンドに登録できるのだ。なんか大学院レベルの高難度魔術ってのも問題無く登録はできた。
魔術の発動にはHPの消費が伴うので実際に発動されてるものは少ないが、手段をストックできるだけでも都合は良いし。
魔法の方に関しては、MPの最大値を上げて一定の段階まで行くと種類が増えていく。
なんか古臭いRPGっぽい仕様なんで気が楽だ。
ラインナップの大半は魔術のと名称が被る。だが総数的には魔術の方が多い印象か。これは魔術の方が威力別に同系統の魔術を細分化しているのが理由か。行使の仕様上うっかり死に兼ねないHPの減り具合は細かく調整できた方がいいので、効率的っちゃ効率なのかと思う。
さて、まるっきり自由な時間を使えるのはこの一年になった。
そして自己鍛錬以外の時間消化に案外苦労していた。
あのクレーターの件以来、お目付役のメイド隊が常駐なんだ。
……いや、災害モドキはもう自重してるが、それでもMPの最大値が上がるとそれを消費しきるのも大変で……。
多少でも効率良くやりたいと思うと、やっぱり、少し、派手な見た目のが消費しやすくてね。
因みに、地形に優しくな気構えで定番化したのは、敷地内の低地へと向けての水属性範囲魔法〈
このワンセットをすると最後はこの付近に殺菌性の霧雨が降り注ぎ、周囲が害虫の居ない綺麗な芝の植層へと活性化する。
しかも天気が晴れならば、局地的な霧雨の間は綺麗な虹も出るというオマケつきだ。
難点としては、周囲一帯にイオン臭が広がる事か。結構好き嫌いがあるから、この匂い。
個人的に心配なのは、毎日のように続けていたせいか池が枯れてないのが普通になってしまっている点かな。
メイドの誰かが『既に湖ですね』とかボソっと呟いてたようだが、池だ。
あと、何気に水場の生き物が定住しはじめているのにも驚く。
何気に、自然の営みって逞しいな。
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