hosibosi

エリー.ファー

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 スクランブルが少しずつ近づいてくる。

 時間の問題だろう。

 あわてふためいてしまわないように覚悟だけはするべきだ。

 きっと、それらがここにやって来る頃には皆、悩み何か忘れてしまう。

 あれはそういうものだ。

 二度と訪れることのない災害だ。

 スクランブル。

 あれについての研究は進んでいるらしいが、どうにも結論は導き出せないままだそうだ。

 そのまま死ぬのか、失ってしまうのか、得られるものもないのか。




 スクランブルはその名称を子整形ハゼン兆候にし、今後はハゼン兆候と呼ぶことといたします。

 まず、これによる被害ですがおそらく蟻、蠅、ゴキブリ、百足、蜘蛛、の絶滅が考えられます。

 これらの問題については後で説明いたしますのでもうしばらくお待ちください。



 スクランブルのことについては多くの人が研究しているみたいだけれどね。

 あれは、無理だね。

 無理。

 分からないよ。

 だって、ここまでやり続けている所からは完全に遠い話になっているし、その基礎が何であるかも分かっていないのが現状だろう。ハローの法則から、二次元相違型完全置換で、実際の数値との差異は出たのに、それを酸素や水素といったものに変換できなかったじゃないか。

 その時点で未知であることは分かるし、正直これ以上続けても不明のまま、不定のままであることは自明だろう。

 これに突っ込む研究費がどれくらいなのかを分かっているなら、とっくにやめておくべきだと思うけどね。

 スクランブルねぇ。

 あれ、本当にどうなんだろうね。




 研究は進んでいませんよ。

 えぇ、全くです。

 冷静に考えて、スクランブルのことが分かるからなんだというのでしょうね。

 まず、スクランブルが何かの発展に寄与するかどうかというところが怪しいではありませんか。事象として存在するだけで、それを人類の支配下に置く。

 あぁ、もちろん比喩的な意味ですからお気になさらず。

 で、えぇと、どこまで話しましたっけ、あぁそうだ。そう。人類がしっかりとコントロールできるのか、ということです。

 これって結構な問題であると私は思うのですよ。

 スクランブルのサンプルは十分すぎるほどにとれているし、その研究に名乗りを上げている機関は数多くあります。

 でも。

 本気なんでしょうかね。

 国からの援助金。

 それ目当てだと思うのが自然ではないでしょうか。

 私はね、この研究がより優秀な研究者の手に渡ったとして、今度はその優秀な研究者の手を煩わせるという損失を生むだけだと思っているのですよ。

 このスクランブルというものは、中に何を秘めているのか、一体、どんなものなのか、ということでこちらの興味を引くだけ引いて、そのまま時間だけを消費させるという神の置いた罠なのではないでしょうか。

 そうでなかったら。

 スクランブルなどという名前もつかないでしょう。

 ねぇ、違いますかね。

 いや。

 もう私の手に負えるものではありませんから、研究はここまでにしますよ。

 どうぞ、他の方をあたってください。

 無理だと思いますし、無駄だと思いますがね。



 

 スクランブルは素晴らしいものですよ。

 医学的な面で言えばこれほど評価される研究もないでしょう。

 多くの人の命が救われるに違いありません。

 だから独占しようとする者もあらわれるでしょうし、戦争も起きるでしょう。

 いやぁ、だからなんでしょうかね。

 名前がスクランブルなのは。

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