第4話 関係

ある日の事だった。



「ねえ、怜華飲みに行かない?」

「えっ?良いけど……合コンじゃないよね?」

「安心して!合コンじゃないから。合コンは、もうしないと思うよ」

「えっ?」

「詳しい事は後で話す」

「うん。分かった」





そして夜 ―――




「ごめん!遅くなって!」



私達の前に現れたのは将弥君と裕斗君の姿。



「実は、怜華ちゃんと裕斗に報告があるんだ」


と、将弥君。



「何?」と、将弥君。



「実は」



「私達」

「俺達」


「「付き合っているんだ!」」



二人は声を揃えて言った。




「えっ!?そうなんだ!」と、私。


「へぇー」


「怜華ちゃん、裕斗の事、宜しくお願いします!」


「えっ?将弥君?」



「私からは裕斗君に怜華をお願いします!」

「えっ?弥冬ちゃん?」


「弥冬から、怜華ちゃんの事、聞いた。俺は二人にうまくいってほしいと思うんだ。それに、弥冬も同じ気持ちみたいで……。裕斗、俺、弥冬にお前の過去を話したんだ」


「うん」

「怜華ちゃんの過去を聞いて、お前とならって俺は思った」


「将弥……。まあ、せっかくだし、この場を借りて言うけど、怜華に何があったかは知らないけど、異性に対して恐怖感があるのは初めて会った日から感じてた事なんだけど」


「えっ!?裕斗…そうだったのか?」

「裕斗君…そうだったんだ」


「ああ。その後、事件あって更に確信してるし。俺達隣人同士だから何かあった時、お互い駆け付けられるようにしてるつもりだし」


「裕斗君…」

「お前…」




グイッと肩を抱き寄せる裕斗。



ビクッ

肩が強張る。



「まだ時間かかりそうだけど…」



私を見ては微笑む裕斗。


ドキン

私の胸が大きく跳ねる。


だけど、恐怖感の中に安心感があるような胸が高鳴る。



「怜華を傷つける事はしないって!コイツ傷ついたら……俺にも心開かなくなるって思ってるから。お互いにとって合コンで出会ったのも何かの縁だって俺は思ってるし」



「……裕斗……」と、私。



「俺達の事は見守ってもらえれば良いと思う。なっ!怜華!」




ドキン

裕斗の笑顔に胸が大きく跳ねる。



≪…裕斗…≫




私達は乾杯し、その後、四人の行動は増えた。


一瞬に出掛けたり飲みに行ったり、私自身も裕斗との事を知ろうと少しずつ、少しずつ過ごしていた。





ある日の事 ―――



四人で飲んでいる時の事だった。



「将弥~♪」


裕斗の様子が変わった。



「えっ!?お、お前…酔ったの?」

「キスしよう♪」

「お、おいっ!寄せっ!」



ドサッ


二人は倒れ将弥君は裕斗にキスされた。



私達、女性陣は笑う中、



「弥冬、笑ってないで助けろよ!」


と、将弥君は言うと、



「お前にお仕置き!」

「えっ?きゃあっ!」



二人のラブラブさを見せ付けられるように将弥君は弥冬にキスをした。



「もう!辞めてよ!恥ずかしいじゃん!」

「良いじゃん!付き合ってんだし!」



二人のやり取りを見てると羨ましく思う。



「怜華」

「何?」



名前を呼ばれ振り向くと同時にキスされた。




ドキン


唇が離れる目の前には裕斗の顔。



「何、見つめ合ってんの?」と、弥冬。


「えっ?」と、私。


「本当、二人共早く付き合えば良いのに」


と、将弥君。


「まだまだ時間が必要だし!なっ!」




ドキン

裕斗の笑顔に胸が高鳴る。



私の心(ハート)は異変が起き始めていた。


私達は、また飲み始め盛り上がっていた。





ある日の事 ――――




「裕斗ーー、いるーー?」



裕斗の部屋に訪れた。




「………………」



「裕斗?」



カチャ

脱衣場のドアが開く。




ドキッ



「きゃあっ!ご、ごめんっ!」



私は、背を向けた。


お風呂上がりの裕斗に遭遇。

私の視界に飛び込んだのは裕斗のパンツ1枚の姿。



頭にタオルを被せるように乗せている姿。



「いや、別に良いけど何?」

「そ、その前に洋服着て」

「洋服?」

「目、目のやり場がないから」




スッと背後から手が伸びてきたかと思ったら抱きしめられた。



ビクッ

肩を強張る。



「大丈夫。何もしないから」



ドキン


裕斗の一言と、抱きしめられているお風呂上がりの裕斗香りと体温に包まれた私は胸の高鳴りと変わりドキドキ加速していく。




「洋服も着たよ。それで何?怜華の手元にある肉じゃがが美味しそうなんだけど」

「あ、うん…これ…裕斗にと思って」

「そうだったんだ。そうしたら俺の半裸と遭遇しちゃったんだね」


「うん…お口に合うか分からないけど…良かったら食べて」

「サンキュー!怜華の手作り料理頂きま~す♪」




私達は、向かい合い私は裕斗に肉じゃがを渡す。




「じゃあ戻るね」

「うん。怜華」

「何?」

「お礼にチューしてあげようか?」



ドキッ


胸が大きく跳ねる。




「け、結構です!」

「え~~っ!俺の好意を」

「気持ちだけもらっておくね。じゃあ!」

「怜華」




グイッと腕を掴まれた。



ビクッ



「あっ!ごめん。驚かせて。大丈夫!何もしないから」




裕斗は、優しくふわりと抱きしめる。



ビクッと強張る中、私の胸はすぐに落ちついた。




「なあ…怜華。お前の中で、どれくらい俺に対しての恐怖感消えた?まだ…怖い?」


「…それは…」



抱きしめた体を一旦離すと向き合う私達。



スッと両頬を知らない優しく包み込むように触れると優しい眼差しで見つめる裕斗。



ドキン…ドキン…と私の胸がゆっくり加速する。



私は裕斗の手の上に自分の手を重ねた。




「………………」




「裕斗に、もっと近付きたいと思ってるよ…だけど…まだまだな時と大丈夫な時と…喧嘩して自分の中で葛藤してる…」


「…怜華…」



そう言うと私を抱きしめる。



「…そうか…」



そう言うと、おでこにキスされた。



トクン…


胸の奥が小さくノックした。



「………………」



「じゃあ…まだまだ時間が必要かな?……なあ怜華…俺からじゃなくて怜華からもっと歩み寄らないか?」


「えっ?」


「異性に対する恐怖感があるから、俺が受け身になって怜華を受け入れるように対応すれば良いのかもしれない。怜華、俺を信じて想いぶつけてきな!」



「裕斗」



「怜華からキスしてきたり、俺に抱きついてきたり…正直…俺も受け身になるのは苦手なんだけど……お互い乗り越えなきゃならないから……怜華が異性に対する苦手なのは俺も一緒だから」



「えっ?」



私達がお互いの過去を話す日は遠くなかった。


お互いが抱えている心の胸の内を話す時、私達の関係は大きく変わる。















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