23

鎌鼬の襲撃を受けた翌日。

光とちとせが来ているのを見計らってか、彼は何事もなかったかのようにアパートを訪れた。

「よう、昨日ぶりだな。」

「お前‥何しに来た!」

若干の敵意を向け、眼帯に手をかける亮太。

さらにはちとせと光も身構えるが鎌鼬は意にも介さない。

「あー、ちょい待ち。話があるからこうしてキチンと来てんだ。」

「じゃあ何で昨日は不意打ちみたいなことしたんだ?」

「ああ、それはお前の異能力を見極めるため。」

「‥そうか。」

「お、分かってくれたか。」

「まだ信用はしてないがな。話ってやつは聞いてやる。」

「あらら。まあ、いいか。話はこうだ。」

腰を下ろした鎌鼬は、要点をズバッと言ってのける。

「泊亮太。オレのボスがお前に会いたいっつってんだ。」

「お前のボス?誰だそれ。そもそも何で俺に会いたいんだよ?」

唐突な申し出に困惑する亮太。

「込み入った話でなぁ、ここでは話せねぇ。後は会ってからだ。」

「おいおい、怪しさ満載なんだが。俺を闇討ちする気じゃないだろうな?」

「ああ、それは保証するぜ。刑事と繋がってるお前を闇討ちしたってオレが奴らに捕まるだけだ。メリットはねえしな。」

意外な情報を持ち出され、思わず亮太は身構える。

「おい‥お前どこまで知ってんだ?」

「お前のことは大体知ってるぜ。オレにはちょっとした情報網があるんでね。」

これ以上は話してくれないと感じた亮太は、あきらめ顔でため息をついた。

「はあ、分かったよ。お前のボスとやらに会ってやる。」

「ご協力、感謝だ。んじゃオレはボスに連絡を入れる。ちょっと外すぜ。」

立ち上がった鎌鼬だったが、ちとせに呼び止められる。

「待って。」

「ん?なんだよ?」

「私も、同行していい?」

「別に構わねえが、やることはなんもねえぞ?」

「それでもいい。」

「ふうん。逆浪はどうすんだ?」

「勿論、俺も行くさ。」

「あいよ。んじゃ、ちょっと外すぜ。」

鎌鼬は改めて電話を入れるべく、外に出て行った。


鎌鼬が出て行ったのを確認して、亮太は話し出した。

「おい、何で2人ともついてくるんだよ?特にちとせ。」

「だって心配だし、どういう話なのか気になるし‥。」

「おいおい、俺はお前のバディだぞ?ついて行くに決まってんだろ。」

2人の決意が揺らがぬものであることを察した亮太は、その決断を受け入れることにした。

「分かったよ。なんかトラブったら、その時は頼む。」

「「もちろん。」」


「待たせたな。」

ちょうどその直後に、鎌鼬が電話を終えて戻ってきた。

「何人連れてこようが構わんとさ。」

「なるほど。んで、いつだ?」

「そんなの今からだが?」

「おい聞いてねえぞ!」

亮太の抗議にも、鎌鼬はどこ吹く風。

「そりゃあ言ってないからな。」

(こういう奴、すっげえ苦手だ‥。)

げんなりしつつも、申し出を受けた以上行かない訳にはいかない。

「仕方ねえ、分かったよ。」

「おう、理解が早くて助かるぜ。ああそうそう、自己紹介がまだだったな。オレの名は霧風才斗。コードネームは『鎌鼬』だ。んじゃ、行くぜ。ついてこい。」

鎌鼬こと、霧風に案内され、3人は彼のボスの元に向かった。

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