第1章

1

キーン、コーン、カーン、コーン、、、

夕日が差し始めた図書室。

部活終了を知らせるチャイムの音を聞き、泊亮太は本から意識を現実に引き戻した。

「おいおい、もうこんな時間かよ。仕方ねえ、帰るか、、、」

そうつぶやく彼の右目は、白い眼帯で覆われていた。

周囲に彼の右目について聞いても、理由を知るものはいない。

それを知るのは本人のみである。


帰路についた亮太。地元の商店街をまっすぐ横切ろうとすると、

「ーーーーーーーーん?」

細い路地の間から、争っているような物音が聞こえてきた。

「何だ?」

気になった彼は、路地をのぞいてみた。

そこでは、亮太と同い年くらいの青年が、怪しげな3人のヤクザ風の男に囲まれていた。

高校生1人に対し3人で脅すのは明らかに卑怯なやり口である。

気づくと彼は、男たちに近づきながら声をかけていた。

「おい、おっさんたち。」

ああ?と言いながら振り向いた男の1人はーーーーーーーーーーーー

下腹部に強烈な衝撃をくらい気を失った。


「それが大人のやることかよ?3人で高校生脅すのが?」

「てめえ、ケンカ売ろうってのかあ?」「買ってやろうじゃねえか!」

「おい、危険だ、やめろっ!」

青年の制止を振り切った亮太は、残る2人と戦うことになったが、動じることなく2人の攻撃を冷静にかわし、攻撃を仕掛ける。

「コイツ、強いッ……」

呟きも気にせず、片方に容赦なくアッパーカットを叩き込み気絶させる。

「仕方ねぇ、コレを使うか…」

「何をだおっさん」

残り1人の攻撃をかわしたが…


「コレだよ、ヘヘッ。」

かわしたはずの攻撃が、直撃した。

「なっ…げふっ」

強烈な衝撃に吹き飛ばされ、コンクリの壁に全身を強打。

気づくと彼は男に首を捕まれていた。

「ハハァ…これだから他人を痛めつけるのはやめらんねぇ……。おい野郎、テメェが俺らについてこねぇなら、このガキを痛めつけてやる。どうするよぉ?」

「やめろっ!そいつは俺たちに関係ないだろ!」

「おおっ、ガキカッコいいもん付けてるじゃねえか。外してやろうか?」

「やめ…ろ……」

「そうかそうか、外して欲しいのかぁぁ!」

抵抗も空しく、白い眼帯が外れ………

亮太の視界が開けた。


「久しぶり…だなぁ、この目で世界を見るのは…」

その瞳は、綺麗な紫色に染まっていた。


「お、おい、何だよその目は………」

男はその瞳にただならぬものを感じ、あわてて手を放して後ずさる。

直後。

「なるほど。」

その声と共に亮太は男の視界から消え、男がそれに気づいた時には、全身に強烈な衝撃をくらい、吹っ飛ばされてガレキに突っ込んでいた。


「やれやれ…」

亮太は全身ぼろぼろになっていたものの、どうにかその場に立っていた。

「この目は見えすぎるし、体がおかしくなるから使いたくねぇんだが……」

「おい君、名前は?」

「へっ?」

気づくと、先程の青年が亮太を見ていた。何故か目をキラキラさせながら……。

「名前は?」

「泊…亮太だけど?」

「よし亮太、付いてこい!」

「ええっ?」

事情が飲み込めぬまま、亮太は青年に連れていかれた。

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