第4話

「けん、どうするのだ。この ごたごたした時に、お迎えなど出来るのか?」

「叔父さん、春を一人にしてはまずい。取りあえず神社に連れて行き、次のことを考えないと。」


春は恐る恐る


「すみません。何かご迷惑をお掛けしているようですが、そろそろ失礼したいと思います。では、けんちゃんまた…。」


言い終えないうちに、叔父さんは春の前に立ち、優しく語りかけた。


「春ちゃんは、覚えていないと思うけど、この町は夕方からは、君にとって危険なんだよ。取りあえず神社に来なさい。大きくなったね。それにしてもお父さんは大変だったね。お母さんは元気なの?」


整った叔父さんの顔に少し怖さを覚えながら、考えていた。危険?父のことを知っている?母は私に一度もそんなことを教えてくれていない。


「でも、母が遅くなると心配しますので。」


けんが話に入ってきた。


「おばさんには、俺からも電話で頼んでみるからさ。うちにおいでよ。それから、家までちゃんと送って行くから。」


なぜだろう。急に強い眠気が襲って、春はうとうととその場でしゃがみ込んでしまった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る