この小説は、(いわゆる数独みたいな感じの)パズルにどっぷり浸かるお嬢様の日常を第三者の視点で、時に冷静に、時に強烈な勢いと感嘆符を伴って表現されたものです。私は、この強烈なパッションを持っている語り手に非常に衝撃を受けましたし、実際のところ私自身この勢いがとても好きです。先の文章を読ませるような、そんな力があるように思えます。例えばパズルお嬢様が丸一日パズルに費やし虚無になった時も、この語り手が圧倒的な勢いで全て持っていってくれるので、さほどネガティブな読後感にならない、そんな効果があります。
また、小説の内容も、パズルにどっぷりな私だからでしょうか、非常に「わかる」エピソードが多いです。また、悪のお嬢様も登場してきて、既にパズルの沼に片足突っ込んでいるような気はしますが、今後の二人のお嬢様の関係性などにも期待していきたいと思っています。