第5話
朝だ!
「おはようございます。今日もよろしくお願いしますわ」
パズルお嬢様は少し遠いところの中学校に通っているので毎朝車で送り迎えして貰っているぞ!一目で分かる!あ、高級そう、というような黒い車に乗り込むパズルお嬢様!毎朝の運転手へのあいさつは欠かさないぞ!
ちょこんと後部座席に座る、制服姿でいつもと違ってあんまりひらひらしてないパズルお嬢様。学校に着くまでの隙間時間も有効に活用しますわ、と言わんばかりに通学鞄に忍ばせておいたパズル本をすっ、と取り出して解き始めたぞ!
(今日持ってきたのは・・・スリリンの本ですわね。・・・)
(この問題は難しくて昨日から持ち越しておりましたわね)
うう~とかやだやだ~とか言うお屋敷にいる時と違ってお屋敷の外なのでキリっとしているパズルお嬢様!背筋を伸ばしてすっとしてパズルを解いているぞ!
(・・・全然進みませんわね・・・)
(もしかして、イヤな予感が・・・───あ、1のヒントの周りに2本線)
「ギャ・・・!
───コホン、失礼、なんでもありませんわ」
お屋敷に居るときのようなテンションで叫びそうになってしまったけれど押しとどめたパズルお嬢様!仕事をこなす運転手の背中にぼそりと取り繕ったぞ!
(はあ~~一回消しますわね・・・。・・・)
(・・・・・・・・・なんだ、案外難しくはない問題だったのですわね・・・・・・・・・)
(・・・!!!解けましたわ~~~~!!!!)
「やった・・・───あ・・・」
「?何をやったのですか、お嬢様」
「・・・問題が解けて嬉しかったのですわ」
「それは結構なことでございますね」
「・・・」
(は、恥ずかしいですわ~~~!!)
顔を赤らめるパズルお嬢様!恥ずかしがっているのを悟られたくないのもあり、というかどちらかというとめちゃくちゃいたたまれなくなったのでたまらずパズル本から目を離して窓から外の景色をちらりと見た!
(・・・・・・・・・・だいぶ学校が近くなってきましたわね・・・もう1問いこうかしら・・・)
(・・・中途半端になるのも良くない気がしますわね、やめておこうかしら・・・)
(うん・・・)
鞄にパズル本をしまい、すらりと伸びた足の太ももの上あたりに手を置いて、外を流れる朝のなんとなくせわしない景色をぼんやり眺めるパズルお嬢様!かわいい!車内に静かなエンジン駆動音だけが響く・・・。
車が減速して、中学校の近くで停止した。
「着きました、お嬢様。」
運転手がまず降りて、パズルお嬢様の為に車のドアを開ける。
「ありがとうございました。では行って参りますわ」
「はい、お嬢様。」
運転手は、パズルお嬢様が少し遠くの同じ制服の人の流れに入り、校門へ消えていくまで見送った後、車に乗り込みその場を去った。バックミラーでちらりと後ろの車を確認しながら、さっきのパズルお嬢様はミラーで分かるぐらい赤面していたな、と思ったのであった・・・。
(ああ、恥ずかしかったですわね・・・バレてないと良いのですけれど)
終
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