第13話 決勝戦

試合開始!!


その声と共に試合が始まった。


「両者とも全く何もしていません

どちらが、先に動くのでしょうか?」


「いや、これは高次元な賭け引きをやっていますよ。

先程から両者とも微かに手足を動かしたり、スキルを使う素振りを見せているのですが勝つビジョンが見えないんでしょうね」



クソォ、この無能。

ガチで強いな。俺の未来視だと、良くて相打ちだ。

20ある俺のスキルもこいつに通用するスキルで考えると3つか4つ程しか無いしな。

しゃあねぇ、挑発でもなんでやって隙を作るか

「おい、無能。怖くて近づけもしないのか?だったらさっさと帰れよ。お前みたいな奴が来るところじゃねぇんだよ。俺が優しくしている間に降参しろ」


「ふっ、私は全力でいつも通りやるだけです。

ですが、降参はしません。降参したら悔いが残りますから」


「そんなくだらねぇプライドなんか捨てて俺にやられる前に降参すりゃいいのに。後悔するなよ」


今の俺だと相打ちだからそれを乗り越えてやろう。

'炎竜巻'


「先に動いたのは20のスキルを持つテンネル選手!

強力な炎魔法を繰り出しました。私ならあれだけでやられてしまいますがニコラ選手は…」


「まぁ。大丈夫でしょうね。

多分、あの魔法は単なる時間稼ぎでしょう」


「やっと、炎が消えました。

おぉっと、ニコラ選手の姿がありません。

まさか、消し、


「いますよ。テンネル選手の上斜め後ろに」


無能のくせに、速いな。だが、もう遅い。

’限界突破'


また、一つスキルが減っちまったな。

そんなことより、後ろから来ている奴の相手をしてやるか。


’雷帝拳'


「決まったー!!!

卑怯にも後ろから攻撃しようとしていたニコラ選手に痛烈な一撃を与えました。

ダメージが相当入ったかと思われます」


「卑怯では無いと思いますが、ダメージが本当に有るんでしょうかね?

私にはそうは見えませんが」


実際に攻撃を当てたテンネルも同様のことを思っていた。


なんだ、あの不快な感触は。

そう思っているとニコラから驚きの発言があった


「私のスキル、教えてあげましょうか?」


「何を言ってる。そんなこと、」


知りたい、それが本音だった


「面倒くさいですね、貴方。

独り言だと思って聞いてください。

私のスキルは軟体化、強化、弱体化ですよ」


弱い、凄まじく弱い。それだけで何故俺と渡り合えるんだ?

「やはり、無能だな。自らその無能さを主張するなんて負けを悟ったのか?」


答えは無言だった。

そして、会場は盛り上がっいた。


「ニコラ選手の攻撃が止まらずテンネル選手は防戦一方です。

これは一体何が起こっているのでしょうか?」


「私の予想ではニコラ選手の身体能力が増加した、またはテンネル選手の身体能力が低下している。もしかしたらその両方かもね」


「そんなことが、

いや、あり得ませんよ。

普通に考えてニコラ選手はサードなんですよ」


「あり得るとかあり得ないとかじゃないんだよね。目の前で怒っているんだから、それともこれは幻覚かな?

それに君の普通と僕の普通は違うし、皆との普通とも違うと思うよ」


そして、テンネルはある思考に辿り着いた。


そういうことか、

弱体化って俺に向かってやってるのか。

つまり、コイツはレアスキル持ちってことか。


レアスキル

強者の中で使われている言葉で有る。

そう呼ばれるスキルは多くの場合、自分ではなく他者に効果を発揮できる。

ユウトの忘却スキルもその一つ。

この世界の多くのスキルは他者自体にはスキルは使えない


「悪りぃな、スキルが3つのたかがサードだと心の奥底で馬鹿にしていたみたいだ。

だが、本気で行く」


「そんな、大口よく叩けますね。

攻撃を凌ぐだけで精一杯でしょう」


俺は天才だからな、

0.5秒だけレアスキルより凄いことができるんだよ。

'時間停止'


「な、何が起こったんでしょうかー!!

今、猛攻撃をしていたニコラ選手が吹っ飛びました」


「これは私でも見えなかった攻撃です。

速すぎるというより時が止まったように感じました」


この勝負は俺の負けだな。

こんな反則的なスキルを使っちまった。

だが、試合に負けるわけにはいかない。

'雷球' +’炎球' =大爆発


「大爆発が起こったー!!

もう私には何が起こったか分かりません。

シリカさんお願いします」


「はい。これはスキル同士を複合させたものですね。

彼は属性魔法の使い手なので火と雷を複合させて大爆発させたのだと思います」


「スキルの複合ですか。それは20のスキルを持つテンネル選手ならではですね」


終わったか…

しまった。これは言ってはいけない言葉だ


その言葉は現実となり、ニコラは立ち上がった。


「もう立つな。

サードにしてはお前は凄いやつだ」


「それが嫌なんだ。


スキルが少ないからなんなんだ。

サードにしては、だと?

サードじゃなかったらどうだったんだ。

凄いなら凄い。ダメならダメ。そう判断してくれよ」


「そうか。じゃあ、お前のライバルとして今回は俺の方がすごかった」

'雷神の怒り'


「勝者はテンネル選手ー!!!

試合の結果だけを見れば大方予想通りというところです。

しかし、試合内容は私たちの予想とは大きく異なったのでは無いでしょうか?

この後はエキシビションマッチを行います。

しばらくお待ちください」


僕が応援してたニコラ選手負けちゃった。

でも、相手のテンネル選手も悪い人では無さそうだったな。


こうして武道祭は終わった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る