第9話 消失事件
そして数日後、僕は呼び出された。
「おはようございます、ユウトです」
「おはよう、ユウトくん。
依頼完了の紙を渡してなかったからね。
はい、どうぞ」
「ありがとうございます。
体調は大丈夫なんですか?」
「体調はバッチリだね。
でも、少しだけメンタル面がやられちゃったかな。
俺ね、自分がセブンだったことが嬉しかったんだ。けどシックスになっちゃった」
セブンってスキルが7個もあったってことだよね
「スキルが減ってしまったんですか。
りえないですよ。
スキルは神から授かった才能ですよ」
「うん、でもさ。
可能性はあるよね。と言うより、少し前からそういう噂はあったんだ。
スキルを消滅させる人、もしくは組織がいるってね」
意味がわからない、どうしてそんなに酷いことができる人がいるんだ。
「なんで、そんなことするんですか。
他の人の才能を奪って何になるんですか」
こんなこと言っちゃいけなかった。
被害者であるこの人のほうが、そういう想いがあるはずなのに
「さぁ、俺にもわからない。
俺は幸い、映像化って言うあまり使わないスキルが消されたけど
もし、違うスキルだったらって思うとやばいかな」
「おい、部外者に喋りすぎた。そいつを巻き込みたくないならそれ以上は話さないことだな」
怖い人、来た。
「坊主も依頼完了の紙を受け取ったならさっさとどっか行け」
「はいー! すぐに」
おっかない人だ。
それにしても、スキルを消滅か。怖すぎる。
スキルが無きゃ何にもできないよ。
そして、僕は報告のために冒険者ギルドに向かった
「こんにちは、依頼の報告に来ました」
「はい。警部の依頼ですね。
児童福祉と警部の二つの依頼を達成しました。
残りはイベント手伝いのみとなっております」
「はい」
「イベント手伝いの内容におきましては本日中に手紙か口頭でお伝えさせていただきます」
依頼は終わっちゃったけど教会に行こうかな。
「こんにちはー」
「兄ちゃんがきたぞー!」
「巨人だー!」
相変わらず元気そうでなによりです
「ユウトさん。今日は来てくれたんですね、ありがとうございます」
最近はちょっと忙しくて来れなかったんだよね
「夕食食べませんか?」
「あっ、シスターさんさえ良ければなんですけど僕に料理を手伝わさせてくれないですか」
「助かります」
~料理中!~
「シスターさん、尊敬です。
凄いですね」
彼女の手際の良さにユウトはただただ感心した
「いえ、こんなの教えてもらっていれば簡単です」
「いや、凄いですよ」
「子供達にも教えたいんですけど、
男の子達は嫌がっちゃうですよね」
今の僕ならお金を払ってでも習いたいけど小さい時は嫌だったかな。
「勿体無いですね。
こんな貴重な事が学べる機会を棒に振ってしまうなんて。
まぁ、僕も小さい頃は料理なんてって思っていましたけどね」
「良かった、それが普通なんですね。
あの、ユウトさん。お願いがあるんですけど子供達にモンスターとの闘い方とかを教えてもらえないでしょうか」
「僕がですか」
「はい、子供達には多くのことを学ばしてあげたいんですけど、私だけでは難しくて」
「教えたいのはやまやまなんですけど、僕自身が未熟者で教えられるほどの立場ではありませんので今は無理ですね。
ごめんなさい」
「あっ、こちらこそ。すいません、こんなこと頼んで」
~食事が終わって~
「またね。また、来るから」
「うん、明日も来てね」
「バイバーイ」
宿に帰ると、孤独を感じた。
何故だか、教会から帰ってくると孤独を感じてしまう。
そういえば、シロウさんと会ってないな。
久しぶりに誘ってみようかな
そんなことを思いながら僕は部屋に違和感を感じた。
手紙だ。
机の上に手紙があった。
~~
ユウト様
拝啓 日に日に暑さが増していき、まさに夏本番というような感じになってきました。暑さに負けず、お体を大切にお過ごし下さい。
さて、この度はイベント手伝いの内容が決定したためご連絡させていただきます。次の天の日に開催される武道祭、特に武道大会の準備の手伝いをして頂きます。
下記の場所までお越し下さい。
冒険者ギルド一同
ということだった。
どうやら僕の空いている時間に行けばいいらしい。
というか、武道大会ってなんだろう。
明日、シロウさんに聞いてみよう。
そして、次の日
あっ、シロウさん。発見
「シロウさん。武道大会ってなんですか?」
「おぉ、ユウト。なんか久しぶりだな。
お前、消失事件に巻き込まれたんだってな。大丈夫か」
消失事件? 僕は消えてませんけども
「なんですか、それ?
体調はすこぶる元気ですけど」
「いや、お前当事者だろ。
一般人と騎士団の人のスキルが消滅したって、それで新人冒険者の一人も巻き込まれたって街で話題になってんだよ」
「それですか。
僕は騎士団の人に逃させて貰いましたので何の被害もありませんでした。
あと、正確には騎士団の人は一つだけスキルを消滅させられました」
「お前に被害は無かったんだな、良かった。
あっ、悪い。騎士団の人は被害を受けているんだよな」
「その人はそれでもシックスらしいですけどね」
「マジか、今の俺と同じじゃねぇか。
ど偉い才能の持ち主だったんだな」
「そう思います。僕なんてシングルですからね、消えたら終わりです」
「お前、シングルなの!?」
あっ、やばい。また、見下される
「どうでもいいけどな。
スキルが少ないって言うのは不利なのは確かだと思うけどな
それはお前が弱いという理由にはならないからな。
実際、ダブルスで俺より強い奴がいるんだよ。次は絶対勝つ」
「そうですか、なんか、ありがとうございます」
「なんでお礼しているんだよ。
それより武道大会だよな。
名前の通り、戦って誰が最強かを決める奴なんだけど、
予選が2日、本戦が4日あるんだよ。
その間はお祭り騒ぎ、露店なんかと大量に出るぞ。
ユウト、お前も出るのか?」
「出ませんね。人と闘うのは嫌いなので」
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