第2話 禁断の森
村から出ると待ち受けていたのは自由だった。
僕が今から向かう場所も方向も僕自身で決めることができる
どっちに行こうかな。
右だ。右に行こう
村という閉鎖的な空間ではあり得なかったその自由からかユウトはとても上機嫌だった
(ふふーん、ふーん)
ただ歩いている。
そんな普通のことなのにどうして、こんなに心が躍るんだろう。
だが、ここで村からの脱出を成功させ、そして歩き続けたユウトは睡魔に襲われ始めた。
眠い。今は、もう1時半か。
そろそろ寝ようかな
彼は寝床の用意、実際には魔物除けの石と人除けの石を置いただけだがそれを終えるとすぐに眠った。
彼も気付かない疲労が溜まっていたのだろう
次の日になり、朝日がユウトを襲った
うゎ、眩しい。どこだ、ここ?
あっ、そうだ。
今日からは僕の新しい人生なんだ
栄えある初日は、この森を突破しよう!
森の中で野宿はしたくないからできれば今日中にこの森を抜けたいな。
実はこの頃、村人たちはユウトを捜索していた。
だが、ユウトは運が良かった。
あの村から僅か数キロしか離れていないこの森は対象外だった。
この森は禁断の森と言われ、村の大人たちには近づくことが禁忌だとされていたからだ。
久しぶりにこの森に来たな。父さんと母さんと来たのをまだ覚えてるな。
ここに出てくる魔物は角ウサギぐらいまでだって言ってたし大丈夫だよね。
(ぐぅー)
その前にお腹空いたな、昼ごはんを食べよう。
歩きながらパンでも食べよう。
村で売っていた最低品質のパンを鞄から取り出し、無理やり胃の中に納めた。
相変わらずのすごい食べ応えだった。
言い方を変えると、とてつもなく硬くて、
味は…言いたくない。
それにしても、本当に魔物も動物も出て来ないな。
どうして、禁断の森って呼ばれているんだろ
禁断の森、それは村から人が流出するのを防ぐために伝わっていた伝承だった。
ユウトの育った村は物理的に孤立した場所だった、この森を除いては。
東西は大きな川、北は砂漠といった風に。
だが、魔物が出てこないと言うわけではない。
実際に今、ユウトの前には一匹の魔物が出現した
あっ、てできた。角ウサギさんですね。
すいませんがあなたの今を忘れてください。
忘却(記憶)
良かった。混乱してくれてる、動物と一緒だ。
混乱しているところ悪いですけど倒させていただきます。
(よしっ、倒せた)
実戦では初めてだったけど上手くいった。
害獣は依頼でたくさん相手をしたんだけどね。それで倒し方も学んできた。
最初は相手の全てを忘却させた。
でも、相手の全てを忘却させたり呼吸の仕方とかを忘却させたりするのはすごい疲れる。
よく分かってはいないけど僕の何かしらを使って忘却させるんだけどそれがすごく消費される感じ。
僕はそれをSPって呼んでる、スキルパワーの略ね。
そこで考えたんだよね、このSPの消費を抑えられないかなって。
実験結果はこんな感じ
生命活動ー8割
呼吸とか、筋肉の使い方とかそういう奴。
記憶ー6割くらい
目標物(僕)ー1割くらい
途中から部分的に、
例えば足の動かし方だけとか、今の記憶だけとかも忘れさせてみた。
足の動かし方は忘れ去れられたんだけど今の記憶とかは無理だった。
ただ、個体によって色々と変わってくるんだよね。
例えば、年齢が若い獣は記憶を忘れさせる時、SPの消費が少なかったけどあんまり混乱はしなかった。あと、呼吸の仕方とかを忘れさせてみたけど、一瞬だけだったりした。
そこはもっと研究しないとかな。
でも、とりあえず今は相手の記憶を忘れさせる
その理由は相手が攻撃できなくなるから
これは僕の考えなんだけど
今を何をしようとしていたかを忘れさせると相手は何もできなくなる。
いや、合っているかは分からないんだけどね。
自分の記憶は忘れたく無いから試した事はない
あれ でも。
今、何しようとしてたっけ?ってなっても別に大丈夫だから関係ないか。
じゃあ、なんで相手は混乱するんだろ
‥‥
ユウトは思考の限界を迎え、この後は何も考えず森の中をあるいた。
そして、数日後
あっ、出口だ。
やっと、森を抜けれた。
最初の1日で森を抜けるっていうのは無理だったけど目標達成!
〜後書き〜
読んでいただきありがとうございました。
皆さんは今、何しようとしてたっけ?という経験ありますか?
私自身は少なからずありまして、その状態に陥ったときは思い出すまでその場に留まっています。
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