才能の無い冒険者〜全てを忘れさせる〜

ピリパ

第1話 新しい人生(プロローグのため飛ばして頂いても構いません)

いつもと変わらない日常。

我もの顔で其処に居座り、俺を見つけると近づいてくる。


はぁ、面倒くさい


呼吸をするかのようにどうして絡んでこれるのだろうか


「おいおい、ここは能無しが来るところじゃないぞ。

何しに来てるのかな」


少しだけ驚いた。何故ならば彼の言葉のレパートリーが一つ増えていたからだ。

彼のレパートリーはクズ、バカ、間抜けの三つだった。

誰かが教えたのか、それとも俺を馬鹿にするために何処かで学んだのかは分からないが無意味な努力をしている


俺も鬼ではないので無視はしないであげよう

「馬鹿なのか?

依頼の達成報告に決まっているだろ」


「お前が?不正でもしたのか。それとも君のママかパパに手伝ってもらったのかな?」


がっかりだ、いつもの返しだ。

彼はいつも俺の両親のことをこの言い合いの中で出してくる


「ふっ」

相手をする価値が無くなったな

後ろでギャーギャー騒いでいるが気にしない


さっさと報告して金を貰おう

「依頼の達成報告にきました」


「承りました。

それとユウト様、ギルド長がお呼びです」


またか面倒だな。


「それは義務か?」


「義務ではありませんが、この街で生きていくためには行ったほうがいいかと思われます」


脅しともとれる彼女のお勧めは俺には全くの無意味だ。

だが、それを伝えるつもりはない。

とりあえず、ここは適当に答えておこう


「分かりました」


実際、ギルド長の影響力は凄まじいだろう。

スキルを1つだけしか持っておらず、両親も亡くなってしまった俺はこの村では落ちこぼれとして扱われている

そんな俺でさえ、ギルド長はなんとかできるらしい。

少し前にギルド長に待遇を良くする代わりにスキルのことを話せと言われている。


だが、俺の忘却スキルのことは両親から人に言うなと言われた。

特に、この村の人には絶対に伝えてはいけないらしい。


そんなことを思っていると。彼がまた俺に近づいてきた


「おい、能無し。暇か付き合えよ」


俺としては付き合いたくない。

とてつもなく面倒くさそうだからだ


「あー。悪いギルド長に呼び出されているんだが急用か?」


行くつもりはさらさらないけどな。

流石の彼でもギルド長の名前を出すと引き下がるしかないだろう


「ちっ。なんでもねぇよ」


多分、俺をいじめたかったんだろうな。


どうして才能があるやつに限って俺を虐めたがるんだろうか、謎だな。

そんだけスキルがあるなら俺なんかを構わずに居て欲しい。


俺のスキル数は1つ。あいつのスキル数は8つ。

人類の平均は4つだから2倍の才能。すごいな。


実を言うと俺も最初はスキルが4つあった可能性がある


なぜそのようなことが分かるかと言うと、俺のスキルの中にこんなのがあったからだ。


忘却

(忘却リスト)

空間魔術

付与術

錬金術


俺の予想では、忘却スキルがもともとあったスキルも全部忘れさせたんだとおもっている。合ってるかは知らない。


この予想を誰に話すわけでもないし、合っているかを教えてくれる者ももういないからな。



あと、どうでも良いかもしれないが、明日は俺の誕生日だ。そして、とてつもなく嬉しい誕生日プレゼントをもらえる。

それはこの村から出れることだ


この村には謎の結界があり、15歳になるまでは大人の許可がなければ結界の外に出ることはできない。どうにか結界の外に出ても10分ほど経つと結界の中に戻されている。



そろそろ、家に帰って旅の用意をしよう


今にも崩れそうな建物、多くの人が家と認識することが困難な建物だけど

これが俺の両親と俺の家だ。


この家とも、ここでお別れか。

今までお世話になりました


ユウトがまだ10の歳もいかない頃、彼の両親は亡くなった。

だからこそ、この家は彼と彼の両親の思い出が沢山詰まった大切な場所だった


忘れよう。忘れないと前に進めない



忘却(この家の全て)


忘却スキル。それは単純で忘れさせることができる。

派手な必殺技などでは無いが、効果は絶大でユウトは両親と過ごしたこの家の記憶も何処かへ行ってしまった。


あれ?

どうしてこんなボロボロの建物に僕はいるんだろう?


皆が寝静まり、見張りも睡魔に負け始めた頃にユウトは動き始めた


そろそろかな。

いちよう、僕の誕生日を覚えていて逃さないように見張っているかもしれないからな。


彼は誰にも気づかれないでほしいとい気持ちと誰かが彼の村からの脱出を警戒していて欲しいという相反する気持ちを持っていた


そんな彼は特に何の弊害もなく村を脱出できた



(ありがとうございました)

村に一礼すると、前に向かって歩き始めた。


これからは新しい人生の始まりだ!


彼の新しい人生が始まった


~後書き~

小説っぽく書けていますか?

いちよう、色々と読んで参考にしながら書いてみました

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