懐省碌

第19話 戦争の時代

戦争とは、こうやって始まるんだ。

今まで、遠くの地域紛争しか知らなかった僕たちに、ロシアは教えてくれた。

国境付近で、大規模な軍事演習を行う。

そして、いつまでも終わらない。いや、いつ終わると言わない。

「宣戦布告」せず、特別軍事作戦と言って、ウクライナに侵入する。

ウクライナ軍は、ロシア軍が攻めてくるとわかっていたが、最初は押し込まれた。

首都の手前まで攻め込まれたところで、なんとか踏みとどまった。

大統領の暗殺計画や、空挺部隊による侵攻など、様々な作戦が行われ、公開されることなく鎮圧されたことが後に明らかになった。

この戦争は、世界の国々を巻き込んでいる。

サイバー空間を含めれば、世界大戦の様相を帯びてきた。

経済制裁やサプライチェーンの国内回帰など、軍を動かしていない国も、戦争に参加している。

世界はブロック化して行っている。

世界のブロック化は、インフレを呼ぶ。

たまたま金融緩和を実行しているのが日本だけなので、円安が目立っているが、戦争になれば、基軸通貨以外の通貨は安くなる。

世界を征服する野望を捨てないロシアと中国が、このままの体制でいる限り、戦争状態は終わらない。

この戦争を終わらせるのであれば、ロシアと中国の政権を倒し、体制変革を実現せねばならない。

西側諸国がこの戦争に勝利することによってのみ、戦争を終わらせることができる。

問題は、核戦争にさせないこと。

ギリギリのせめぎ合いが続くことになる。