第18話 怒り

急に怒りがこみ上げてくることがある。

ふとした瞬間に、過去の出来事が脳裏に浮かんできて、頭の中で展開する。

気づかない間に、その想いは広がって、だれかを非難攻撃する光景になる。

想いが止まらない。

言葉に出そうになる。

そこまできて、ようやく気づく。

今、目の前にそれはない、と。

そこで止められたのなら、まだマシだ。

止められない人が、行動に移す。

もともと、目の前にいる誰かではない。

嫌な思い出の中の、誰かだ。

あの時、出来なかったことを、今、晴らそうとする。

誰でもいい。

攻撃する。

本当は、心安らかに居たいのに、暴走を止められない。

だれかを傷つけ、自分もやっつけられて、ようやく止まる。

殺人にまで、進んでしまう人もいる。

取り返しがつかない。

面前には何もなかったのに。

止められない人が少しずつ増えている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る