第34話 地図なき道

ここは1k8畳の賃貸マンションの1室である。

おっさんが一人ブログを起こしているのだ。


「ふう、今回は1週間でブログを起こすことができたぞ。それにしてもASポイント10000ポイントいかなかったか。せっかくなんで、経験値取得倍増レベル2取りたかったな。人数も増えたしな」


ダンジョン都市編

第76記事目 ダンジョンの記録 ~21層から29層編~

第77記事目 ダンジョン30階ボス編

第78記事目 異世界の職業 ~職業に貴賎なし希望あり~

第79記事目 魔法書の可能性

第80記事目 ASポイントと効果の倍率検証


PV:207369

AS:9000


「複数のスキルを手に入れることによって、必要スキルポイントと能力が倍増する関係が見えてきたぞ」


スキルポイント1P 1.2倍

スキルポイント10P 1.5倍

スキルポイント100P 2倍

スキルポイント1000P 3倍

スキルポイント10000P 不明


「パッシブだろうと仲間支援魔法だろうと経験値の倍率だろうと全部統一みたいだな。10000ポイントの経験値の倍率で、パッシブスキルのレベル5の倍率調べられるのか」


「さてと、そろそろ異世界に戻るか。明日は確か40階目指す攻略か。40階層でレベル上げるか、50階層でレベル上げるか迷うな。セリムのことを考えたら50の前半ゾーンがいいのかな。これは40階やってみて判断するかな」


『ブログ記事の投稿が確認できました。異世界にいきますか はい いいえ』

おっさんは『はい』をクリックすると、ふっと目の前の風景がウガルダンジョン都市でおっさんが借りた賃貸の1軒屋に変わる。


深夜、ベッドに座るおっさんである。

横ではイリーナが静かに寝息を立てている。

おっさんも明日に向け眠りに着くのであった。

そして、翌日、いつもの構成でダンジョンへ向うおっさんら一行である。


「さすがに、2日じゃお願いした台車完成しませんでしたね」


「まあ、そうですね。今日は通常の台車2台でいきましょう」


おっさんは、鉄板を買ったお店に台車の作成依頼をしたのだ。

今まで低ランクの素材しか手に入らなかったため、気にならなかったが、今後Bランク以上の素材が手に入るのだ。

鍛冶屋に特注の台車の作成を依頼していたのであった。


「そういえば、セリム」


「ん、なんだ?」


「ワープゲート入った後、例えば、戻って同じ階のボス戦えるのでしょうか?」


「ボス狩りか?できるぞ。ただ、同じワープゲートは1日1回しか使えないぞ。だから、ボス狩りできるのは1階分だけだし、そのあと別の階にワープゲートですぐに移動できないぞ」


「そうなんですね」


おっさんは、いかに早く皆のレベル上げをするか考えていたのである。

ボスの間はランクの高いモンスターが31体もおり、経験値効率がいい。

ボス狩りができれば、レベル上げが早く達成できるのだ。


「ケイタ様、ボス狩りをされるのですか?」


「そうですね。今後はワープゲートで入る際、同じ階のボスは倒していきましょう。荷物になるので、素材は魔石のみで、それだとあまり時間はかからないはずです。今回はおそらく10日以上の戦いになります。移動中の素材の回収も基本的に魔石のみでいきましょう」


「はい」


今回は31階から40階までの移動である。

最短でも1日1階であるので、タブレットの『地図』機能を駆使しても2週間以上攻略にかかることを想定しているのだ。

食料は30日分用意し、15日分の食料が減った時点で撤退するか判断すると皆に伝えているおっさんである。


そして、ワープゲートで飛んだ30階である。

30階のフィールドとは反対側に進み、ボスの間に入る一行である。


「普通に入れましたね」


「はい」


中央にワイバーン、周りにゴブリンジェネラルのようだ。


(ゴブリンジェネラルも初だな)


「では倒します、陣を組んで待機してください」


(今回も風魔法レベル3の威力の確認だな)


「エアプレッシャー」


4つの巨大な風の刃がボスの群れを襲う。

全滅しており、立ち上がるものはいないようだ。


「終わりました、魔石を回収しましょう」


「「「はい」」」


「それにしても、すごい祝福だな」

「はい、この前のボスの間でもいただきましたが、こんなに簡単に頂いてよろしいのでしょうか」


レベルが上がった4人から感嘆の声が上がる。


(ふむ、これで、イリーナ、ロキ、コルネ、セリムの4人がレベル23で並んだな)


NAME:イリーナ=クルーガー

Lv:23

AGE:20

HP:480/480

MP:0/0

STR:320

VIT:186

DEX:140

INT:0

LUC:186

アクティブ:剣技【2】

パッシブ:礼儀【2】

EXP:546570


NAME:ロキ=グライゼル

Lv:23

AGE:30

HP:436/436

MP:0/0

STR:280

VIT:140

DEX:181

INT:0

LUC:140

アクティブ:剣術【2】、槍術【2】

パッシブ:礼儀【1】

EXP:556170


NAME:コルネ

Lv:23

AGE:16

HP:388/388

MP:0/0

STR:186

VIT:138

DEX:186

INT:0

LUC:116

アクティブ:弓術【2】

パッシブ:鷹の目【2】

EXP:575220


NAME:セリム

Lv:23

AGE:17

HP:240/240

MP:184/184

STR:110

VIT:92

DEX:137

INT:169

LUC:294

アクティブ:剣技【1】、槍技【1】、格闘【1】、罠解除【2】

パッシブ:礼儀【2】、算術【2】、力【1】、罠察知【2】

EXP:484295


魔石を回収しながら、能力値の分析をするおっさんである。


(あれ、コルネの鷹の目のレベルが2になってる。他は変わらないよな?スキルレベルの上がる条件があるな。レベルも大事だが、スキルレベルの上がる条件も分析していかないとな。それにしてもセリムの幸運かなり高いな)


【ブログネタメモ帳】

スキルレベルの上昇条件考察


魔石のみなので、素材の回収はすぐに終わる。

もと来た道を戻り、30階層の攻略を始める一行である。

30階始まりの広間を抜けるとそこは墓地であった。

どんよりとした湿気があり、厚い雲で覆われている。


「墓地ですね」


(なるほど、資料通りだな。でかい墓標が邪魔で遠くまで見えないな。たしかBランクとCランクのアンデット系のモンスターが出るんだっけ)


【ブログネタメモ帳】

ダンジョンの記録 ~31層から39層編~


「うん、骸骨が襲ってくるから気を付けて。頭壊さないと死なないから厄介なんだ。32階まで案内する。こっちだ」


セリムが32階まで行ったことがあるので、次の階への道を案内する。


「少し土が柔いですね。アヒムとイグニルは台車大丈夫ですか?」


「大丈夫です。そこまで、足はとられないようです」


「分かりました、ぬかるみにハマったら教えてください」


今回からアリッサもある程度レベル上がったので3人の従者侍女が交代で2名ずつ台車を引くのだ。

残り1名は槍で戦闘に参加する。

セリムの案内により前進を続けるおっさんである。

剣や槍を持ったアンデットを蹴散らしながら、下層を目指すのだ。

初めて、入口の広間以外で休憩を取る。

陣を取り、中央でおっさんがタブレットを見ながら敵影に備えるのだ。

休憩を減らし、早く階層入り口の広間に目指すのだ。

31階から40階は、Cランクモンスターの方がBランクより出てくる割合も多く、難なく倒していくのだ。


「あったぞ、あれが出口だ」


中に入ろうとする一行である。


「ん?どうしたんだ?入らないのか?」


「ちょっと待ってください」


中に入ろうとしないおっさんに対して、イリーナが声をかける。


「どうしたんだ?」


「今後、出口を全部自分らで見つけないといけないので、ちょっと出口と階層の関係を確認しています。すぐ終わりますので出口付近で固まって待機してください」


(ふむふむ、いつもの下に降りる安全設計のスロープだな、タブレットの地図で見ると、入った場所と反対側だな。これより先に行けるのか)


出口に入ろうとせず、そのまま『地図』を見ながら、直進するおっさんである。

何をしているのかとおっさんを見る一行である。


「お、これ以上いけないな」


ずっと先まで墓地の景色である。

しかし、見えない壁にぶつかるおっさんである。


「壁?」


「見えない壁があります。これ以上先に行けません。少し元来た道に戻ります」


(ループ構造になっていて、まっすぐ行くと元来た道に着くみたいなことはないのか。あくまで一定エリアの範囲内のダンジョンなのか。では高さはどうか?ついでに出口は遠くから見たらどうなるか確認するか)


入ったとき墓石が邪魔で遠くが見えなかったことを思い出すおっさんである。

100mほどもと来た道を戻る。

そして、土魔法で壁を作るおっさんである。

2個縦に重ねたところでこれ以上積み上げることができないようだ。

そのあと1個を消して、階段を土魔法で作って土壁の上に行くおっさんである。


(空が見えても、高さにも上限があると。それにしても、出口付近が他と違ってぽっかり空いているな。これも出口を探すうえでのヒントか。15m程度の高さだがコルネの鷹の目なら違和感に気付けるかもしれんな。それにしても、この高さで休憩取れば、安全ではないのか)


コルネを呼んで、土壁の上から出口を見せるおっさんである。


【ブログネタメモ帳】

ダンジョンの出入り口考察

ダンジョンと土魔法の可能性


「お待たせしました。広間に行って休憩しましょう」


「大丈夫なのか?」


「はい、色々気付いたことがあるので、皆さんで共有しましょう」


休憩中に情報を共有するおっさんである。

なぜそんなこと思いつくのかという顔をする仲間も多いようだ。


(そういえば、ボスの間と階層に入る前の広場は空が見えないな)


思い思いに休憩する一行である。

おっさんは過去に入った31階分のダンジョンの地図から出口のパターンを考察するのである。


(ふむふむ、入口と反対側が8割か。でもマップ中央付近も2割ほどあるな。まずは入口の反対側までいって、そこになければ、マップ中央付近も探すか。あちこちいかないと、どこが中央か分らんしな)


そして、次の日を迎える。

次の日までセリムが道を先導するのである。


そして3日目の出発前である。


「では、まず土壁で上空からコルネさんになにか出口らしいものがないか探してもらいます」


そういうと25mとぎりぎりまで高くし、コルネと共に何か見えるものがないか確認するおっさんである。


(1日で攻略できるってことは1日30km前後歩けば出口に着くのだ。ということは直線距離は入口と出口の距離なんて20kmかそこらだ。地平線のようにこのフィールドが丸く歪んでなければ、出口は見えるかもしれぬ)


「あっちに2日前に見せてもらったものと同じような凹みがあります」


(マジか、鷹の目マジ有能だな)


コルネが出口に気付くのである。

おっさんの目では分からないようだ。

タブレットを見ながら、方角を記憶する。


「分かりました。まずはあそこに行きましょう」


もう一度皆にも方角を伝え前進するおっさんら一行である。

3時間置き程度に方角を距離感を確認して進んでいくのである。


「ありました!」


出口は1日かけてたどり着くのであった。



そして、9日が経過する。

1日に1階というハイペースで進むおっさんら一行である。

そして、目の前にボスの間の扉が見える。


「本当かよ。初めてきたのに10日で31階から40階にたどり着いたぞ」


「そうですね。時間をかける必要のない階層なので、さくさく行きましょう。前も言いましたが、ボス戦は従者侍女の安全配慮のために、私が倒します」



ボスの間に入ると、中に15mほどの大きさの外套を羽織り、杖を持った骸骨のAランクモンスターを中心に、鎧だけが剣を持った30体が囲んでいる。


【ブログネタメモ帳】

ダンジョン40階ボス編


「今回はAランクがいます。前回Aランクを倒す時に手こずりましたので、本気でいきます」


「本気?ケイタ殿の本気が見ることができるのか?」


パメラが反応する。


「はい、ですのでしっかり離れていてください、風魔法で倒しますが、素材が手に入らなかったらすいません」


「そのようなことはかまいませんので」


ロキが反応をする。


(まあ前回よりINTが4倍以上増えて、魔法レベルも3から4に上がってるしな。Aランクならさすがに倒せるだろう。Sはどうか知らんけど)


皆が見守る中、広間中央に少し近づくおっさんである。

ゆっくり手をかざす


「スパイラルサイクロン」


外套を羽織り杖を持った骸骨の上空に淡い白色の魔法陣が出現する。

竜巻が発生し、全てのボス達を呑み込んでいく。

ボスの親玉が少し動けたようであるが、すぐに竜巻が敵を砕く音のみとなる。

数十秒で竜巻は止み、粉砕された骨と鎧が積みあがっているようだ。


「風魔法もすごいんだな」


セリムが反応する。

パメラとソドンが何で平気に反応できるんだという顔でほかの仲間を見ている。


「ありがとうございます。魔石が砕けていたらすいません。回収できる素材があれば、回収していきましょう」


無事だった剣や魔石を載せていく。


「これはあのAランクモンスターの魔石でしょうか。無事でよかったです」


バスケットボール大の魔石

Aランクモンスターが持っていた杖の宝玉

Bランクモンスターの魔石15個

Bランクモンスターの剣と槍15本


どんどん台車に載せる。

食料品が20日分も余ったので、あと素材は置いていくのだ。


「たぶん、これだけでも白金貨100枚はしますよ」


ボスの親玉の魔石を見てロキも嬉しそうである。


(これで、イリーナ、ロキ、コルネ、セリムのレベルが26になったか。アヒムとイグニル、アリッサは20台前半のレベルだな。つうか俺は29のままか。オーガ3000体倒したときからレベル上がっていないな)


ボスも倒し拠点に戻るおっさんら一行であった。

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