第03話 スキルの選択

いまだに転移した森の中で、移動することなく、大木を背にし、一人のおっさんはたたずんでいる。

目の前には、半透明のタブレットが浮いている。

心の中でおっさんは思案する。


(とれないスキルのことは仕方がない。これは1ポイントのスキルを選べということなんだろう)


(この世界はスキルとレベルと経験値制のシステムのようだ。RPGのような世界観なのはステータスを見る限りまちがいがないのではないか)


(であるなら、取るべきスキルは生存率を上げるために、なるべく死ににくく、なおかつレベルのあげやすいものを選択すべきか)


(当面一人で行動することになるだろうから、攻撃と回復のアクティブスキルを両方選び、残りはパッシブスキルにすべきか)


(全部最初に選ぶのではなく、優先順位を決め、まず必ず必要なものから選ぶか)


おっさんは『火魔法』と画面右上にある検索バーに入力をする。

すると『火魔法Lv1 必要ポイント1P』と検索結果がでてくる。

青い文字で表示された1Pの部分をタップすると『1Pで火魔法Lv1を取得しますか』というメッセージウインドウがでてくるので、『はい』をタップし取得する。


(取得したが違和感がないな。火魔法Lv1の威力もわからないし、試し打ちしたいところであるが、ゴブリンとかがワラワラ湧いてきても困るな)


(火魔法の威力を上げてみるべきか。)


おっさんは画面をよく見ると『火魔法Lv2 必要ポイント10Pポイント』と表示されていることに気付き、愕然とする。


(まじかよ。普通Lv2で2ポイント、Lv3で4ポイントとかそういうものではないのか。必要ポイントの上昇率厳しすぎじゃねえの)


(Lv2で10ポイントなら既にボーナスポイントでは足りないじゃん)


(Lv1で必要ポイント1を10個とれということか。まあ、そういうもんなんだろう。仕方がない。アクティブとパッシブそれぞれ選んで取得するか。)


火魔法も含めて選んだ10個はこちら

アクティブスキル

・火魔法Lv1 必要ポイント1P

・風魔法Lv1 必要ポイント1P

・水魔法Lv1 必要ポイント1P

・回復魔法Lv1 必要ポイント1P


パッシブスキル

・体力向上Lv1 必要ポイント1P

・魔力向上Lv1 必要ポイント1P

・力向上Lv1 必要ポイント1P

・耐久力向上Lv1 必要ポイント1P

・素早さ向上Lv1 必要ポイント1P

・知力向上Lv1 必要ポイント1P


(いきなり火魔法選んでしまったが、ここは森の中だったな。後衛職になるように選びつつ、体力とかも最低限上げておいた方がいいだろう)


アクティブスキルの4つをどんどんタップして取得していく。

どうやらすべてLv2を取得するのに必要なポイントは10ポイントのようだ。


(次はパッシブスキルか。まずは体力向上を取得するか。おそらくHP0は死亡のことだろうからな。HPをこれで上昇させるのだろう)


体力向上を取得する。

パッシブスキルの体力向上もLv2の必要ポイント10と表示される。

そんなことよりどの程度上昇したか確認をするため、画面を戻しステータス画面に切り替える。


(HPが20から24に増えているぞ。1.2倍になったな。これはほかのパッシブスキルと同じかな)


パッシブスキルも全て取得する。

10ポイント消費した結果のステータスを再度確認する。


名前:ケイタ ヤマダ

Lv:1

AGE:35

HP:24

MP:36

STR:6

VIT:6

DEX:6

INT:18

LUC:10


アクティブ:火魔法【1】、水魔法【1】、風魔法【1】、回復魔法【1】

パッシブ:体力向上【1】、魔力向上【1】、力向上【1】、耐久力向上【1】、素早さ向上【1】、知力向上【1】



加護:検索神の加護(極小)


EXP:0


PV:0P

AS:0P


(こんなもんか。パッシブスキルLv1は基礎ステータスの1.2倍説であっているようだな。あと、モンスターを狩るなら隠密とかも必要だったかな)


(さて、火魔法の試し打ちをする前にしないといけないことがあるな)


おっさんはステータスの画面の右上の×表示をタップすると、タブレットの画面がきりかわり、アイコンのようなものがいくつか表示されている。


(なるほど、機能はいくつかあるな。ほかの機能も調べておかないとな。特に現実世界の帰還方法だ。あるよね帰還方法。もうこれ以上のハード設定いやだよ。信じているよ、おじさん)


扉の絵が表示されているアイコンにおっさんは目が行く。

タップすると画面が切り替わり、メッセージが表示される。

文字の後ろの画面の背景は、おれが、かれこれ5年ほど住んでいる1kの部屋の中のようだ。

画面のメッセージにはこう書いてある。

『ブログに投稿できる程度の体験をされました。日本に帰還しますか。はい いいえ』


(なるほど、ブログに投稿できるだけの体験をすると元の世界に戻れるようだな。体験として足りないなら戻れない恐れもあるのか。帰還条件は今後の生命線になるから、条件を確認したほうがよさそうだな)


(このアイコンはさっきのステータスか。このアイコンはスキル取得のアイコンか。このグラフのようなものはあれか)


おっさんは折れ線グラフの表示されたアイコンをタップする。

するとブログ記事の投稿数と時間軸とPVとASの表示されたシンプルなグラフが表示される。

ブログ記事の投稿数もPVもASも0の表示である。


(やはりPVである閲覧数とASであるブログ収益を見るためのアイコンか。ブログを立ち上げて閲覧数を伸ばし、クリック率で収益を得るということか。細かいところはブログ記事を上げてみないとわからないな)


(さてアイコンはこれで全部か。タブレットについてはもういいかな。次は魔法の実験だな。)


慎重に2時間ほど今いる場所から動かずに経過していたおっさんは、やっと今いる場所から動き出し、あたりを見渡しながら歩きを進めていく。

すると今まで出ていたタブレットが消えたことに気付く。


(なるほど、意識を離すと自動的にオフモードにでもなるのか。RPG風のアニメのようだな)


最近見た異世界転生もののアニメを思い出しながら、魔法の試し打ちをする場所を探していく。

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