拝啓、欠陥品の皆様へ。
人には誰にでも、欠陥箇所が存在します。
それは運動音痴であったり、歌が下手だったり、勉強ができなかったり、様々です。
しかし、欠陥箇所が少し違っただけで、人はそれを社会不適合者と呼びます。
すなわち僕のような人間のことです。
僕はシステムに大きなバグをもたらす欠陥を持つ人間でした。
そんなの直ぐに修復すればいいと皆様はお思いでしょう。しかし、私にはそれを直すための部品がありませんでした。
だから、他の方から少しずつ拝借しようと思ったのです。
僕は焦っていました。だからそれが周りの迷惑になるだなんて気が付かなかったのです。
今では本当に取り返しのつかないことをしたと心の底から後悔しています。
だからこそ、私は命を持って償います。
欠陥品の私の命でそれが少しでも許されるなんて思っていません。ですが、欠陥品の僕にはこれしか方法が思いつきませんでした。
もうこれで。僕は僕でなくなります。その前に。
最期に我儘を言うことを許してください。
完璧でありたかった。
欠陥だけじゃなく、何かが欲しかった。
それが無理ならせめて
欠陥を愛してもらいたかった。
僕は今からいなくなります。
これからは僕のような不良品な欠陥品が増えないことを祈ります。
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(暗転)
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