第2話 それでも勇者は体を鍛える!
あれから10年が経った。
どういう理由で自分が選ばれたのか未だに不明だが、それでも勇者として民の希望であり、人類の未来を脅かす魔王と戦える唯一の希望として教会でとりあえず不自由なく育てられた。
勇者としての義務を果たすべく、午前中は基礎体力強化をメインに昼を挟んで歴史や魔族の特徴を学ぶ座学。そして夕方からはどんな敵が現れても即座に対応出来るように毎日毎日倒れるまで剣を振る……そして目覚めると朝になっている。そんな血を吐くような思いで過ごした10年だった。
「勇者、勇者よ!」
「おっ、なんだ飯かジジイ」
「ジジイ……大神官様と呼ばんか!!」
「ちぃっ!」
「し、舌打ちっ!」
大神官は若干凹みながらもローブの下から一枚の巻物を取り出した。巻かれた紐を解きその巻物を広げて勇者へと見せた。
「この絵は大預言者ポーが想像して書いた魔王の絵じゃ、とくと見よ!」
その絵に書かれた魔王は三つの竜の頭を持ち巨大な翼を持つ黄金色の龍だった。ちなみに全長五十メートルらしい。
「これ、どう見てもギドラじゃねぇか! しかも全長五十メートルってお前、人が体を鍛えてどうこう出来るレベルじゃねぇだろ!! 預言者ポーの【ポ】はポンコツのポーかこんちくしょう。俺の十年返しやがれ!!!」
「くふぁっ!」
「くふぁ、じゃねぇ!!」
体を鍛えてどうにかなる問題ではないと知った……若干反抗期【勇者】15歳の夏だった。
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